フェス界で有名だったり、気になったりする人にインタビューを行う新企画「フェスな人」。記念すべき第1弾は、フジロックや朝霧JAMなどのフェス会場でよく見かける「デビルマン」に突撃インタビュー!
フェス会場ですれ違う度に、気になって仕方なかったデビルマンとの接触に成功し、急遽インタビューを実施。「なんでフェスにデビルマンが!?」と思っていた方もいたかもしれませんが、今回はそんな疑問を素直にぶつけてみました。フェスだけでなく、ライブ会場でもデビルマンのコスチュームで参加するというイシツボさん(デビルマンの中の人)に、コスチュームへのこだわりや、BATTLESをはじめとした大物バンドとの邂逅まで、デビルマンならではのエピソードを語ってもらいました。
デビルマンの中の人、イシツボさんにインタビュー!
フジロックには現地に2着持って行って、宿で洗濯
─ 今日は突然呼び出してすみません。ずっと前からデビルマンのことが気になっていて。
デビルマンコスプレをやってるイシツボです。よろしくお願いします。
─ デビルマンのコスチュームでフジロックに参加するイシツボさんを毎年見かけるのですが、そもそものきっかけは何だったんですか?
フジロックには1998年からほぼ毎年行っていますが、デビルマンのコスチュームで行くようになったのは2010年頃からですね。もともと仲間内で「コスプレカラオケ忘年会」というのをやっていて、エルビス・プレスリーのコスプレをしていたんですが、「これってフェスでやっても受けるんじゃないかな」と思ってフジロックにエルビスのコスチュームで行ったのが始まりです。
─ 「受けるんじゃないかな」でフジロックまで行っちゃうの、すごいです!当時、他にコスプレしている人はいましたか?
フジロックだと、大仏マスクやミッキーマウス、ドラえもんのコスプレで来ている人たちを見たことがあります。エルビスを始めるにあたって、その人たちの影響はもちろんありましたね。それに、あんまり友達もいなかったので、現地で誰かと仲良くなれたらいいな〜とも思ってました。
─ 雨対策とか靴とか、きっちり装備を整えなきゃいけないフジロックにエルビスのコスチュームで行ってみて、けっこう大変だったんじゃないですか?
まあ大変さもあるんですけど、周りのみんながレインウェア着たりトレッキングシューズ履いている中で、ふざけたコスチュームとコンバースのスニーカーで思いっきり遊んでる自分がいるっていうのが面白いかなと(笑)
─ たしかに面白いです。でも、最初はデビルマンではなかったんですね。
エルビスでしたね(笑) そのとき外国人にめちゃめちゃ楽しんでもらえたみたいで、自分自身も「これは楽しいぞ!」とハマっていきました。その3年後からデビルマンのコスチュームを着るようになって、それからは毎回デビルマンでフジロックに行ってます。ちなみに、エルビスのコスチュームは今でも自分のバンド「VUMF」で演奏するときに着ています。
─ エルビスからデビルマンに「変身」したわけですが、その理由は?
最初に着ていたエルビスのコスチュームが破れたり汚れたりしてダメになっちゃって、別のエルビスコスチュームを買ったんです。でも、そっちは着てみてもエルビス・プレスリーに見えなかったりして、衣装として弱かったんですよね。
─ エルビスのコスチュームにも色々あるんですね…。
それに、エルビスは外国人ウケは良かったけど、日本人には冷ややかな目で見られてたりしたんです。それで、「誰もが知っていて、誰とも衣装がかぶらない、キャッチーなコスチューム」を考えた結果、デビルマンに行き着きました。
─ 衣装はどうやって用意しているんですか?
コスチュームはいつもネットで探すんですけど、あるとき若松屋の「なりきりコレクション」というのが面白いらしいと知って。デビルマンはその中でも抜きん出てクオリティが低くてバカっぽいと感じたんですよね。しかも、そういうコスチュームほど廃番になっていて、ネットにもほとんど出回っていないんです。そこがいいなと(笑)
─ 手に入らないからこそ、愛着がわくという感じですかね?
そうですね。やっぱりどこでも簡単に買えるものより、苦労して手に入れるコスチュームのほうが「変身」しがいがありますし、やっていて楽しいんですよね。
─ デビルマンのコスチュームは何着くらい持ってるんですか?
メインで着ているのは2着です。他にも未開封のデビルマンが1着、マスクをなくしてボディのみになったものが1着あるので、ぜんぶで4着のデビルマンコスチュームを持っていますね。
─ ぜんぶで4着!?そんなにたくさん!? でも、廃番で出回ってないんですよね?
普段からヤフオクに張りついて、欲しいコスチュームが出品されているのを見つけ次第、すぐ入札してるんですよ!
─ それだけ所有してるということは、フェスで連泊するときは全部持って行くんですか?
毎年3日間参加するフジロックには現地に2着持って行って、宿で洗濯して着回しています。素材が乾きやすいので、3時間くらい干せば着られるようになるところも気に入ってます。
おれのフジロックが今年もはじまる #fujirock pic.twitter.com/kNLPZyztGq
— vo_vumf (@voxxx1929) 2015年7月23日
デビルマン以外にもチャレンジし続けるイシツボさん
ジーン・シモンズや黄金バット、そして意外な苦労
─ デビルマン自体が昔から好きだったんですか?
はい。永井豪先生の原作はもちろん全巻持っていますし、初めて読んだ時は衝撃を受けました。5巻で完結する濃密なストーリーと展開も大好きで、僕のバイブルです。最近もたびたび読み返してマニアックな呼びかけや振りにも応えられるようにしていますね。
─ デビルマンのイメージが強いですが、他のコスチュームでフェスに行くこともあるんですか?
2014年のタイコクラブでは、KISSのジーン・シモンズをやりました。このコスチュームは実際に着てみると、袖の羽根がひっかかってリュックを背負えないし、ジャンプスーツなのでトイレに行くのも一苦労でしたね。荷物としてもかさばるし、嫌になっちゃいました。
─ 人間だからトイレも行きますもんね。
その前のタイコクラブも「黄金バット」で行ったこともあるんですが、見事にスベりました! そもそも僕もよく知らないキャラクターでしたし…。
─ 黄金バットはリアルタイムで見ていた世代もフェスにいないでしょうしね…。いろいろやっても、デビルマンに落ち着くと。
デビルマンは上半身と下半身のコスチュームが分かれているのでトイレにも行きやすいし、たたむとコンパクトになるので持ち歩きにも困らない。色も会場で目立つし、洗濯も楽。いろんな面で優秀なんです。
#taico #taicoclub2014 #KISS #genesimmons
vo_vumfさん(@vo_vumf)が投稿した動画 –
超大物アーティストにも人気のデビルマン!?
BATTLESもスマホに保存したデビルマンのドラムプレイ
─ TwitterでデビルマンがBATTLESのメンバーと握手している写真が上がっていましたが、どんな経緯で?
BATTLESは、バンドで曲を作る際もいつも参考にするくらい好きなバンドなんです。2015年にアルバム「La Di Da Di」が発売されたとき、タワーレコード渋谷店でジョン・ステニアーのドラムセットを実際に叩ける展示をやっていたので、デビルマンのコスチュームで叩きに行ったんですよ。あの超高い位置のクラッシュシンバルがぜんぜん届かなくておもいっきりスカしましたけど(笑)
─ あの格好でタワーレコードって入店できるんですね。
いけちゃいましたね。 あとで聞いた話なんですが、その場に居合わせた関係者が、ドラムを叩いている動画をBATTLESのメンバーに見せてくれたらしいんですよ。本人たちは大ウケだったらしくて、ケータイに保存までしてくれたとか。
#devilman #デビルマン #BATTLES #LADIDADI #TOWER_Shibuya #drum
vo_vumfさん(@vo_vumf)が投稿した動画 –
─ ライブ前からデビルマン・イシツボさんのことを知っていたんですね!
そうなんです!BATTLESの来日ライブの前日にSHELLACのライブを観に行ったんですが、終わって外に出るとそこにBATTLESのメンバーが来ていたんですよね。話しかける機会があったのでメンバーのジョンに「デビルマンのコスチュームでタワレコのドラム叩いたよ!」って伝えると、「お前があのコスチュームの男か!!!」って覚えていてくれて、自分のiPhoneに保存したデビルマンの動画を見せてくれて。
─ なんか色々と凄い・・・
翌日のライブに行くことを伝えると、「明日デビルマンのコスチュームで最前列にいたら、ステージに上げてやる」とまで言ってもらえました。当日は、アンコールのタイミングでデビルマンのコスチュームに着替えてフロアに行ったんだけど、最前列には行けなくて。
─ あのライブは会場も満員だったので、アンコールから前に行くのはさすがに厳しいですよね。
でも、まあ仕方がないかと思って、終わった後にセットリストもらえないかなってステージ近くまで行って機材とか見てたら、メンバーが袖から出てきたんです。
─ おおお、チャンス到来!
そう!それで残ってたお客さんと話したりしていたんだけど、ふと目があって「本当にデビルマンのコスチュームで来たのか!!!」って握手してくれて。ステージには上がれなかったけど、最高の夜になりました!
イアンmeetsデビルマン #battles pic.twitter.com/WkcQtfhvMD
— vo_vumf (@voxxx1929) 2015年11月25日