会場フォトレポート
「LuckyFes’24」体験記
ご存知の方も多いと思うが、会場である国営ひたち海浜公園は長らく日本を代表する音楽フェスのひとつ「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の会場であった。しかしながらコロナ禍に千葉への移転が決定し、街の一大イベントとなっていた音楽フェスがなくなることへの落胆の声は当時大きなものだった。
しかし、そこで待ったをかけたのが「LuckyFes」のファウンダーである堀義人氏だ。本来実業家である彼は音楽フェスへの知見がない中、地域の振興を願い「茨城のフェス文化の灯を消すな!」を合言葉に新たな大型フェス「LuckyFes」を立ち上げた。これが設立の経緯である。
今年で3回目の開催となった同フェスは、「アジア最大のテーマパーク型フェス」を目指し、アーティストの出演組数は114組、ステージは4つに増えるなど、年々着実に進化を遂げている。出演アーティストは石井竜也 with 杏里、森高千里、相川七瀬などのベテラン勢から、アメリカの人気フェス「Coachella」に出演する新しい学校のリーダーズや、北米・UKでのワールドツアーを昨年成功させたMAN WITH A MISSIONなど、グローバルで活躍するアーティストもラインナップ。さらに、Chevon、トンボコープ、Mega Shinnosukeなど、これからの音楽シーンを引っ張っていく若手アーティストも加わり、ジャンルと世代を超えた出演者が揃っていた。そこに加えて、今年はアジア諸国からJAEJOONG(韓国)、クラウド・ルー(盧廣仲)(台湾)、Ink Waruntorn(タイ)など各国の人気アーティストも招聘し、クロスオーバーを体現する唯一無二のラインナップとなっていた。
単純な規模感だけでなく、フェス内ではさまざまな来場者が楽しめる会場づくりがなされているのもこのフェスの特徴だ。例えば、「アートの祭典」というテーマが掲げられ、その一環としてアート領域のクリエイティブディレクターに、特殊メイクを活用した独自の世界観が支持される気鋭のアーティスト・快歩(KAIHO)氏が起用されている。「LuckyFes」のオリジナルキャラクター「ラッキーモンスター」を軸に、大型アートオブジェを始め、会場の各所にさまざまな見て楽しめるアートオブジェが設置されている。また、フードも多様な食のクロスオーバーを楽しめることを念頭に、地元茨城の食材を使った地域の出店者や全国のフードフェスの名店、台湾の魯鶏肉飯や韓国のクロッフルなどアジアンフードも揃い、フードフェスさながらの充実した飲食が楽しめる「Lucky Dining」エリアも好評だった。
さらに、web3を活用した推し活プログラムも実施され、イベントの事前、当日、事後でファンのアーティストへの貢献度を測り、その高さに応じてアーティスト写真を使ったデジタルバッジやドリンク引換券などが得られる仕組みなど、デジタル面でも新たなチャレンジが見られた。
始まった経緯としては過去のフェスの代わりを担ってきた側面もあるが、3年目を迎え、来場者数も6万人を突破。これからの日本の音楽シーンやフェスシーンを見据えたアジア諸国との連動や、アーティストやジャンルのクロスオーバーにチャレンジするなど、過去にはなかった取り組みを続々と実施する姿は、新たなカルチャー創出の場となっていると言えるだろう。地域振興から始まった新たな可能性は今後どうなっていくのか。今後の「LuckyFes」の動向に目が離せない。
Text/Photo:江藤勇也
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