フェス旅にも最適な日本最南端のロックフェス
沖縄・宮古島といえば、透き通ったエメラルドグリーンの海を思い浮かべる人が多いと思うが、そんな美しい海と同様に島に愛され、20年の歴史を誇る日本最南端のロックフェスが存在する。
事前の主催者インタビューでもその成り立ちや島との関わりを聞かせてもらったが、「宮古島の子どもたちに本物の音楽を見せたい」という想いで、島の若者が自主的にはじめた“手作り”なフェスが、スタートしたのは2005年。そこからコロナ禍での中断なども経て、今回で16回目の開催となる。
会場は、宮古空港から車で約15分の場所に位置する宮古島コースタルリゾートヒララ トゥリバー地区ヘッドランド特設会場で、宮古ブルーと呼ばれる美しい海に囲まれた、日本でも類を見ない絶景フェスでもある。
編集部は東京から飛行機に乗って現地に向かったが、まず驚いたのは空港からのアクセスの良さ。空港からレンタカーを借りて車を走らせると、あっという間に会場に到着。会場からも観光スポットとして有名な伊良部大橋が望めるほか、海に入って遊ぶこともできる。そのように大自然を満喫できるロケーションでありながら宿泊施設や繁華街からも車ですぐ到着できる場所で、フェスの前後で観光や旅を楽しめる、まさに「フェス旅」に最適なフェスだと言えるだろう。
青い海と空に囲まれた絶景ロケーション
以前は春に開催されていた宮ロックだが、コロナ禍以降は10月開催に変更された。東京だと少し肌寒さを感じはじめる時期だが、この日の宮古島は最高気温30度を記録する真夏日となり、夏フェス気分を味わうことができた。
リストバンドを交換しゲートを潜ると、青い海が目の前に広がり、飲食店が立ち並ぶビーチエリアに入る。会場全体の構成としては、「ビーチエリア」とステージがある「本会場エリア」の大きく2つに分かれているが、コンパクトでシンプルな動線になっているので移動も楽。
ステージは1つなので、ライブが終わるとそのままシートエリアでくつろぐか、ビーチエリアに出て、ローカルなフェス飯やお酒を楽しむのがこのフェスのスタイル。さらに海に入ることができるので、家族連れや、なかには出演アーティストが泳いでいる姿を見かけたのも、アーティストとオーディエンスの距離が近い、宮ロックならではの光景だった。
アーティストとの距離=オーディエンスへの信頼
ステージと客席の距離が近いのもこのフェスの特徴で、最低限の仕切りがあるのみで、ここでしか味わえない距離感でライブが楽しめる。そういったところからもフェス側がオーディエンスを信頼していることが分かる。
ステージ後方ではシートエリアが設けられ、シートの上で寝転んで休むもよし、座ってライブを見るのもよし、自由なスタイルでフェスを楽しんでいるオーディエンスの姿が印象的だった。さらに後ろのエリアは段差になっており、ステージを見下ろす形でライブを観ることができるので、どこにいてもライブを楽しめる作りになっているのも嬉しい。
また、宮ロックの来場者は年齢層が実に広い。東京や大阪から旅行とあわせて遊びにきたという若いグループもいれば、地元のカップルや子どもとともに訪れるファミリー層も多く見かけた。1年ぶりに宮ロックでの再会に乾杯する人や、地元の仲間たちと週末の余暇として楽しむ姿も多く、地域のお祭りのような雰囲気も心地いい。
それだけこのフェスが島で愛され、1年に一度のお祭り=音楽フェスとして定着していることが、すぐに分かる。オープニングの開会宣言で主催の野津芳仁さんが「このフェスは地域のボランティアで運営されています。参加者の皆さんもどうかみんなで協力して良いフェスを作り挙げていきましょう」という声をかければ、温かい拍手で迎えられ、写真撮影NGの注意に関しても、「周囲に撮影している人がいたら優しく声をかけてあげてください」というような一言も、主催側が一方的にルールを作っているのではなく、参加者みんなでこのフェスを作っていこうというようマインドが伝わってくる。そういった小さな配慮の積み重ねが、観客とアーティストの近い距離を生み出し、出演したアーティストがそれぞれに宮古島の魅力とこのフェスへの思い入れを語り、それがまた一体感を生み出す。そして地元の企業や関係者も巻き込み、まさに島のお祭りとして、20年続くフェスとして愛されているのだろう。
絶品ローカルフード。環境に配慮した取り組みも
ビーチエリアの飲食店には、ソーキそばや、宮古島焼きそば、スパム料理、ジューシー(沖縄の炊き込みご飯)をはじめ、地元の人気ジェラート店の出店などがずらりと並ぶ。昼間がかなり暑いので、オリオンビールや沖縄バヤリースで喉を潤す。オフィシャルバーでは、お酒は600円、ソフトドリンクは300円と良心的な価格設定だったが、さらに飲んだカップをリユースすると100円引きという、環境にもお財布にも優しい取り組みも嬉しい。
また宮ロックは、「Save the sea Save the sky」をフェスのテーマとして掲げており、会場にはゴミの分別から環境保全にしっかりと取り組むゴミステーションが設置されていた。海ゴミについて学べる資料がブースに並べられており、じっくりと読み込む観客の姿もあった。ちなみにオフィシャル物販では、Klean Kanteenとコラボしたリユースのカップも販売されており、その年の出演アーティスト名やサポーター企業名が書かれている人気アイテムのひとつ。宮ロックを訪れた際に購入してみてはいかがだろうか。
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JALPAKオフィシャルツアーなら優先入場も!
今回の取材は、JALPAKのオフィシャルツアーを使って参加したのだが、航空券・宿泊先・フェスのチケットがセットで購入できるという便利さに加え、ツアー参加者は開場前の優先入場が可能になっていた。
朝10時の開場の少し前に、専用ゲートから入場することができるため、ステージ後方のシートエリアの確保やフェスグッズを先に購入できるというメリットもある。実際にツアーを使って参加した方から、「今年はツアーを使ったおかげで良い場所がゲットできました!」という声も。「少しでも早く入場したい」、「仲間とシートエリアをキープしたい」、「グッズを並ばず購入したい」という方はツアーパッケージを検討してみてほしい。
アクセス・宿泊・周辺観光情報などをまとめたHOWTO記事は後日公開予定なのでそちらもあわせてチェック!
Text/Photo:江藤勇也
Edit:津田昌太朗
取材協力;取材協力:ジャルパック・JALふるさとプロジェクトYouTubeチャンネル