「SUMMER SONIC」のステージMCや、フェス専門番組のMCとしてフェスシーンで活躍中の奥浜レイラさん。仕事はもちろん、プライベートでもよくフェスに参加している彼女の姿をフェス会場で見かけたことのある方も多いはず!
今回は、そんなフェスや音楽を愛してやまない彼女が、フェスやライブ会場の熱気溢れる空気感を味わうことができる “聴いていて楽しい音” をテーマにしたオーディオテクニカの新しいインナーイヤーヘッドホン「LS」シリーズで、音を味わい尽くします。生音の魅力を知る彼女だからこそ気になるヘッドホン聴き比べと、音の味わいについてたっぷり語っていただきましょう!(interview/text by 鈴木絵美里)
オーディオテクニカ「LS」シリーズ presents
奥浜レイラさんインタビュー
-本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。そろそろよいヘッドホンを探して購入したいなあと思っていたタイミングだったんです、本当に。
-それはよかったです!すでに何か、試しに聴いたりされましたか?
いえ、それがまだで。音以外の面でも、耳を覆うタイプのものだと夏はできないかなって気になったり、私の場合ピアスなど耳のアクセサリーを邪魔しないタイプを探したりも。なので、今回聴き比べや装着感などを知りたいと思っています。
-普段の奥浜さんは、どのように音楽を聴かれますか?
「SUMMER SONIC」をはじめとするライブステージでのMCやラジオパーソナリティなど、エンタテインメントにまつわるお仕事も多いため、新譜はかなり聴いています。また、そもそも普段から仕事以外でもライブやフェスに行くことが大好きなので、いつもその予習復習を兼ねて音楽を聴き続けている、という感じです。
-洋楽・邦楽は問わずにいろいろ?
はい。邦楽も聴きますし、特に海外アーティストの来日情報は、レジェンド級の方々からまだ日本ではあまり知られていない方まで、くまなくチェックしていますね。来日公演が決まると、そのアーティストが既に別の国でライブをした際のセットリストを調べて予習用プレイリストを作成して聴き込んだり。と言いつつ、2017年になってもいまだに一番聴いているのは2016年フジロックヘッドライナーだったBECKの、セットリスト通りに組んだプレイリストなんですけどね(笑)。 こうやって復習用に作ったものは「あ、この曲のこの後のMCでああいうこと話していたな」なんてことも思い出せるからまた楽しいです。
予習してライブに臨むと「実際に観てみたら思っていたよりすごくコーラスがきれいだな」ってわかったりする。その後「あの感動をもう一度!」と聴き直すと、自分が聴き込みたい部分にさらに耳がフォーカスするから、そこをメインで聴き直せてさらにライブの感動が脳内で蘇ってくる。私の場合、そういうことを繰り返しながらずっと音楽とともに生きている感じがします。
-本当に、常に音楽と一緒にあるという生活ですね。
はい。でも今は、主にスマートフォンでサブスクリプションサービスの音を、スマホ純正のイヤホンで聴いていて。仕事に行く前にテンションを上げたくて音楽を聴くことがとても多いのもありますけど、こういう日常で音楽を聴く時のクオリティを、少しでも上げられたらという想いがありますね。
ZEDDからDirty Projectorsまで聴き比べ!
今回聴き比べるのはオーディオテクニカの「LS」シリーズ。「ATH-LS400」、「ATH-LS300」、「ATH-LS200」、「ATH-LS70」、「ATH-LS50」という5つのタイプが用意されています。オーディオテクニカさんにそれぞれの特徴などご説明いただきましょう。
オーディオテクニカさん(以下、オ):「ATH-LS400」、「ATH-LS300」、「ATH-LS200」には、”バランスド・アーマチュア(BA)型”という、アーティストがステージ上で音声や楽器の音を聴く際に使用されるイヤモニと同じ駆動方式のドライバーユニットが入っています。「ATH-LS70」と「ATH-LS50」は”ダイナミック型”といって、市場の多くのヘッドホン、イヤホン、スピーカーなどがこの駆動方式を採用しており、多用途な音作りが出来るドライバーユニットです。一般的なイヤホンの多くはダイナミック型ですが、コンシューマーリスニング用としてBA型も人気です。
BA型は、「繊細な表現」「解像度の高さ」などに特徴があり、一方のダイナミック型はより「力強い低域」「自然な空間表現」が特徴です。駆動方式は異なる二つですが、音づくりのコンセプトは共通。「ライブやフェスのベストポジションで聴いているかのような音」を目指しています。
奥浜さん(以下、奥):なるほど、あのライブ会場PA前の三角地帯、ですね!
オ:ええ、まさに(笑)。いずれも聴いていて楽しくなる “ライブチューニング”というような色づけのしっかりしたメリハリのある音作りになっているので、聴いていても疲れないですし「ずっと聴いていたい」と思っていただけるような音になっているんじゃないかと思います。価格帯も非常に幅広いのですが、各シリーズで音の好みも変わってきますので、比較してお気に入りのものを見つけていただければと。
奥:それぞれにオススメのジャンルなどはありますか?
オ:好みにもよりますが、電子音がはっきり聴こえるような楽曲の場合はそれぞれの音の分離感があると迫力が出るのでBAドライバーを4つ搭載(低域2発、中域と高域が各1発)している最上位機種の「ATH-LS400」がおすすめです。また、どの機種も装着感を高めるために耳の中にフィットする形にして、低域を逃さないようになっています。
-ではさっそく付けてみましょう。装着してみていかがですか?
ぐっと耳の中に収まって、かなりフィットしますね。これってまさにライブステージでアーティストが使用するイヤモニのよう!まずは私のスマホのストリーミングで、Carole Kingのアコースティックなものをいくつか流して聴いてみましたけど…「ATH-LS50」の時点でもう耳元だけでなく、頭の中の空間でしっかり音が鳴っている感じがします。流しているのはアナログ感のある音なんだけれど、輪郭がくっきりしている。え、この「ATH-LS50」の段階でこれだったら、このあと一体どうなっちゃうんだろう?!
-今まで使っていたものと比べるとどうですか?
なんだか私、今まで耳の外側で聴いてたんだな、ってちょっと思いました。そもそもスマートフォンから出ている音がこんなに良いのか、とすでにびっくりしています。次にダンス系ってことでJUSTICEの「Alakazam!」を聴いてみますね。(しばし堪能…)
シンセサイザーの高域の音の嫌味のなさがすごい!そして迫力のある低域… 最近のダンス系の音楽って80’s流行りなこともあって上のほうの音が聴こえるものが多い。JUSTICEも、低音がっつりというよりきっとこのカラフルな高域を聴かせたかったのねと、これで聴いてすごくよくわかりました。
逆に、次は低音がっつりのZEDDとかにしてみましょうか。ハイレゾ音源で「Addicted to a memory feat.Bahali」を聴かせていただきます。(しばし堪能…)
ちょっとニヤニヤしちゃいます…これだけ密閉されてると、もっと集中して耳元に来るのかと思っていたら、違いました。すごく音の良い映画館のような、周りから音が回って耳に入ってくる環境のよう。耳へダイレクトに、ではなく音の周りに“空間”がある感じがするんです。これは絶対、ずっと聴いていて嫌にならないし、自分の周りを“音楽が包んでくれている感じ”がする…。これで、自分のスマートフォンで同じ曲を聴き比べてみてもよいですか?(しばし堪能…)
うわ、楽しい! 空間の面で、ハイレゾ音源よりも自分に近づいた感じはしますけど、周りに世界があって鳴る感じはそのまま。私は、意外とZEDDのような音だったら、このスマートフォンの音源で聴くほうが踊りたくなる感じが強いかもしれない!くっきりはっきり、近い感じがします。
-次はこの音源のまま、「ATH-LS70」で聴いてみましょうか。
(しばし堪能…)ふわー! びっくりしました(笑)! 曲の冒頭でクラップ鳴っている部分、先ほどの「ATH-LS50」が、手がひとつずつだとしたら、「ATH-LS70」は手が3つくらい鳴っているようなイメージになります! 音がすごくふくよかになりますね。
毎年新年に幕張メッセで開催される「electrox」のようなダンスミュージックフェスの、一番前のゾーンで「この音が流れてきたら絶対踊れるよね!」という感覚。すごくライブ感があって、ダンスミュージックを聴くときのひとつひとつの音の良さがすごいのだけど、変に刺さる感じではないのですごく聴きやすい。
なんだかZEDDがやりたかったことが少しわかった気がするような。周りはバキっと立たせつつ、柔らかくて抑揚のあるふくよかな女の人のボーカルを入れたいんだなっていう。まだ「ATH-LS70」でしたよね?!これより上ってどうなってしまうんでしょうか…(笑)。
-では次は「ATH-LS200」で同じくZEDDを。
(しばし堪能…)なるほど…。音がいっぱい鳴ったときに、より音同士が混ざり合う感じが印象的でした。「ATH-LS70」よりもグラデーションがスムーズで、ライブ会場の場所でいえば、よりPA付近に近くなってきているような感じです。先ほどまでは「今自分がいるのはステージの目の前!」という感じでしたが、「ATH-LS200」では、良質な音が双方向から聴かせたいように耳に入ってくる感じがします。機種価格の上下って、単純に音の良し悪しなのかと思っていましたが、モデルごとに表現しようとしているものの違いや、個性を感じます。このまま「ATH-LS300」で同じ曲を聴いてみますね。(しばし堪能…)
これは女性のボーカルの掠れる部分さえも一個一個の音になって聞こえるくらい、きれいに聴こえてきました。先ほどの「ATH-LS200」は全部のバランスが上品だったんです。でも「ATH-LS300」になったら中域がすごく聴こえるからか、細かいリップの部分もすごく届いて、色気を感じますよ。
「踊りたい!」というよりはもう、音をじっと聴き込みたい、という感じ。ZEDDにも「アガッてほしいぜ!」というときと「しっかり聴いてほしい」っていう時とあるはず、と思い始めました…。上位機種になっていくと、もうこの音と本当に真剣に向き合わなきゃっていう気分がどんどん強くなりますね。
-それでは最後に、最上位機種である「ATH-LS400」でご堪能ください!
(しばし堪能…)よりそれぞれの音の解像度が上がって、低音がさっきよりさらによく聴こえますね。ドラムのキックの左右の違いまでもわかるような、スタジオの制作風景が見えちゃうような。たぶん「こことここちょっと変えたい」とか言ってるんじゃないかなっていうようなことさえも汲み取れるくらいの緻密な音の変化に対応している感じがします。もう制作現場みたいな状態なので、聴き込まざるをえない状態ですね。
-ZEDDの世界を完全に旅してきましたね。
とても豪華でした…。キックの音、シンセの音、同じ音のはずだけれど、小さな変化がわかるんです。今聴いたなかだと「ATH-LS70」はすごく高揚感があったので、私は正直、ZEDDを聴くならいちばん踊りたくなる「ATH-LS70」がいいなって思いました。
-他にも聴いてみたいものがあればぜひ。
ではBruno Marsの「24K Magic」を。最初にこのアルバムを聴いたとき「本当に良い音で、ゴージャスさを感じながら聴きたいなあ!」って思っていたので、聴き比べてみたいです。
(しばし堪能…)「ATH-LS300」で聴くと、印象が一変しました! 高音がまったくキンキンしない。彼の声はもともと高音ですし、使いたい音もわりと高い音が多くて、きっと80〜90年代のR&Bのようなチープな感じを作りたいはずなんです。でもそれって聴く環境によってはキンキンしてしまうこともあるかもしれないんですが…それがまったくない!
そして私のこれまでの印象より上質になって、“大人のためのポップソング!”という感じに。ライブの時のように、音と音の間の余韻が、ひとつひとつの音に感じられます。もうめっちゃいいカーペットの上にスーッとすべっていくようなラグジュアリーな印象になりました。ライブ会場でいえば、ビルボードライブの前のほうの音のとってもいい席で聴いたような感じがあります。とはいえ、実際にBruno Marsが来日したらもっと大きい会場でしょうけども。
-R&B系は、ポップスとしての完成度を堪能するなら上位機種がすごそうですね。
あと、もう一方でインディーロック系を聴いてみたくて。実験的、かつ緻密に音作りをしているDirty Projectorsとかがよいかな。彼らは「朝霧JAM」で見てコーラスの重なりがものすごくきれいで感動しました。緻密に計算され、まるで楽器のように声を重ねていく。それがどのように再現されるのかワクワクしつつ、再生してみます。(しばし堪能…)
オルタナティブロックのギターのざらっとした感じは「ATH-LS70」とかだとすごくいいですよね。コーラスについても、女性陣の声のちょっとした違いが重なりながらも細かくわかりました。恵比寿リキッドルームとか、渋谷クアトロでライブを観て「ああこの人とこの人がこういう声を出しているんだ」っていうのがよくわかった時のような感じ。
また、「ATH-LS200」で聴いてみると、こういう実験的な音楽が、音をはっきりとばらしても聴こえるような状態にした上でさらに構築されなおしたかのように堪能できる。まるでクラシックを聴いているような感動。彼らの音はオルタナティブロックとされるかもしれないけれど、まるでシンフォニーのような組み立てをしているんだなってわかるんですよ!あと、やはり女性の声がすごくよく聴こえてとてもセクシー!低中高の音域をすべて網羅している仕組みで聴くからこそなのかもしれないですね。
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