4年連続チケット完売!人気の秘訣は?
人気フェスランキングに選ばれたり、関西を代表するフェスと言われたりもしていますが、実感はありますか?
佐藤: ない。全然ない(笑)。 関西を代表…してないし、サマソニやラッシュボールやオトダマとか、色々すごいのがあるじゃないですか。でも、今言ってくれた日経新聞のフェスランキングで選ばれたフェスの中で、アマチュアが趣味でやってるフェスのはウチだけだったと思います。
人気の秘訣はどういうところだと思いますか?
佐藤: 関西はキャンプインのフェスが少ないですからね。子どもを連れてこられるような。
深川: ちょうどいいサイズ感、ゆるさってのもあると思います。大阪や神戸から結構近い割にちゃんと山奥のキャンプ場だし。非日常を手軽にっていう。あとは私たちこれで生活してるわけじゃないんで、ビジネス面がない部分を面白がってもらえているのかなと。自分たちもそれが無いことで枠にとらわれることなく自由に動けているんですが、例えば独特のアーティストラインナップやウェブサイトのデザイン、さっき言っていた海外アーティストを呼ぶこととか。
お客さん目線みたいなものも大事にされていますよね?
深川: そうですね。自分がお客さんだったら行きたいフェスであるということにめちゃくちゃこだわってはいます。まだまだですけど。
2010年にはじまって今年で9回目の開催となりますが、苦労することはありますか?
深川: 仕事との両立がどうしても難しくなることは正直ありますね。皆の家族が支えてくれている部分は大きいですし、私も主人には感謝してます。自分の場合、仕事の制作を終えてから深夜にフェスの制作っていう1日の流れになるので、開催する頃には寝不足がたまってて、いつも変なテンションです(笑)。
佐藤: 例えばステージをつくるのに大きい電気がいるんですけど、素人でそんなことわかんないじゃないですか。一般の人が使うレベルとしては一番大きい発電機を業者から借りたんですけど、電力ぜんぜん足りなくて。浅野忠信さんのやってるSODA!ってバンドが出てくれたときとか、途中で燃料の軽油が足りなくなって、演奏中に「ちょっと止めていいですか?」ってメモを渡して、それ見て浅野さんMCで「えーと、発電機に燃料を補給するので一回止めていいですか?って書いてある。全然OK!」って言ってくれたから良かったけど(笑)。もちろん今は大きい発電機入れてるんで大丈夫ですよ!
長く続けるコツみたいなものはありますか?
深川: 長く続けるコツは、メンバー同士で言いたいことを言う。遠慮しないで。
野村: 当日以外での限界は突破しないようにしてますね。無理しない(笑)。
佐藤: うーーん、「フェスをやる」ってことをゴールにしてないことですかね。本当は長く続けることそのものにあんまり意味はなくて。1年目でゴール達成できたらもうそれで終わりでいいと思うんです。でもフジロックっていう革命的なフェスティバルに影響されてはじめたので、もっとやりたい、アレもこれもやりたい。そうこうしてるウチに仲間が増えてきて、多様なアイデアがでてくる。それいいねってなってさらにやりたいことが増える。長く続けてるというよりは、終われないって感じ。終わりたくないんですよね。
今後フェスとしてどんな展開をしていきたいですか?
佐藤: 今のあの場所、こぢんまりとした一体感のある空気というか、そういうのは大切にしたいので自分たちのルーツとして、今後もあの場所で続けると思います。
野村: 一方で、やはり海外ともっと絡んで行きたいので、海外からのアーティスト、お客さんを増やしたいですね。あと海外にこちらからも出ていきたい。アジアのアーティストとの繋がりも少しずつできてきたので、世界中で「ONE MUSIC CAMP」をやりたいですね。いずれはアジアや日本から世界的なスターを生めたら面白いなと思います。
佐藤: お客さんの目線からしたら、自由に世界を飛び回ってあそびたい、すごい体験をしたいって人は、たくさんいると思うんですけど、世界中をフェスと一緒に巡れるような、巨大なバンドツアーじゃないけど、そういうのが出来たら面白いですよね。
深川: あとは音楽以外の要素ももっと入れていければ素敵だなって思います。あの自由な空間で楽しんでるときって五感が研ぎ澄まされている瞬間だと思うんですよ、皆さん。そういうときにアートだとか、例えば子どもたちの教育につながるようなこととか。地域貢献もですけど、何かみんなで考えるべき問題があったりすれば、そういうのを無理なく自然に向き合って考えてもらえるような場にもなるんじゃないかなって思っていて。まだ漠然とですけど。
海外の話が出ましたが、他の国のアーティストを呼ぶようになったきっかけや目的は何ですか?
野村: 日本以外にもこんなに凄いアーティストいるということをお客さんに伝えたいという思いが一番強いですね。フェスに行った時に、全然名前も知らないのに鳥肌が立つくらいとんでもない演奏をしているアーティストとかたまに出会うじゃないですか。ああいう経験をお客さんにも体験してもらって新しい音楽に出会ってもらえたらいいなって思っています。去年の海外からのアーティストだと、Clap Your Hands Say Yeahと落日飛車(Sunset Rollercoaster)が出演してくれました。Clapは2016年から声がけをしていたのですが、半年くらいの交渉の上出演が決まった時はメンバー全員歓喜しました!
アジアのアーティストも今後積極的にブッキングなどしていく予定ですか?
野村: 元々マニラに住んでいたこともあり、東南アジアのアーティストを日本に招聘したいという気持ちが強いですね。向こうに住んでいた時に世界で通用するアーティストがたくさんいるのに日の目を見ないことが多くて。そういったアーティストを招聘したいと思っています。
ローカルフェス、今後どうなる?
Festival Lifeは、今後さらにローカルのフェスに注目していきたいと思っているのですが、これからローカルフェスシーンはどうなっていくかと思いますか?
佐藤: フェスも色々あって地域の活性化とか、マルシェとか、最近では結婚式をフェスでやるとか、色々出てきてますね。なんでも「フェス」ってついている感じはします。音楽が全然ない、たとえば食やワークショップのフェスなんかも増えてますね。ただ、どのフェスも似通ってきているというのが事実です。だからと言って、マーケティング的に考えて差別化やまだ手付かずの需要があるから、それをしましょうっていうのは、僕らはあんまり考えてなくて。どんな人に向けて、どんなことをしたいか、主催者がそれにどれだけの情熱を持ってるか、というのが一番オリジナルなものが生まれるし、ローカルでフェスをやっている人はそういう考えの人が多いと思います。「ONE MUSIC CAMP」では音楽や自由、体験することを価値観としたビジョンがあるので、それにこだわり抜いたら自然とオリジナルなものになっていくと思います。
深川: 一方でもう少し大きな視点で見ると、地域活性化とか、特定のコミュニティの中での役割を果たすことと、自分たちのやりたいことやブランドにこだわってそのコンセプトを楽しんでもらうこと、あとはお客さんが求める需要、その3つのバランスが重要で、それによってフェスのカラーが決まってくるとも思います。私たちは今年から行政や地域の方と組んで、お互いへのメリットや今までにない価値を生めないかと思い様々なアクションを起こしてます。あまりフェスの表面には出てこない部分もありますが、地域に新しい価値を生み出せる活動をして行きたいですね。
佐藤: 最近ローカルでフェスやイベントをやっている仲間ができてきて、一緒に勉強会をやったり、お互いのフェスに出展したりと、ネットワークができつつあります。さっき言ってた世界を巡るフェスみたいな発想をFacebookでポッとつぶやいたら、その仲間たちの食いつきがすごかったんですよね。なので、まずは日本中のローカルフェスを繋げて、今までのフェスの発想にはなかったようなことをやってみたいですね。
フジロックに影響を受けたという話がありましたが、他にも個人的にオススメのフェスなどありますか?
深川: 「New Acoustic Camp」ですね。うちにOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDで出演してくださったときにTOSHI-LOWさんが「DIYフェス、東のNACと西のONEで頑張ってこうよ」って話してくださって、超感動して。
東のNACと西のONE!
深川: 実はその後、主催チームでニューアコにお邪魔したんですよ。会場の雰囲気作り、デザイン、やっぱりすごいなって思いました。私たちが掲載していただいた日経新聞のフェスランキングでも堂々のNo.1だし、さすが兄貴~!って感じで嬉しかったです。
それでは最後になるのですが、このインタビューで出て欲しい主催者・主催チームを教えてください。
佐藤: 仲良くしてる「hoshioto」ですね。岡山のインディペンデントフェスで、一度ドラム缶風呂を持って出張「ONE MUSIC CAMP」をやりました。主催の藤井さんとはここでは言えないようなことを情報交換してますよ(笑)。
「hoshioto」の藤井さんに声をかけてみます。それでは最後に何か一言あれば。
佐藤: 「みんなであそぶフェス」、あそびに来たら楽しさが分かってもらえると思うので、ぜひ「ONE MUSIC CAMP」に一度あそびに来て下さい。
Photo by Hiroshi Maeda
撮影協力:酒場食堂BEN
ONE MUSIC CAMP 2018
日時:2018年8月25日(土)
会場:兵庫県三田アスレチック野外ステージ
公式サイト
ONE MUSIC CAMP | Festival Life