「GREENROOM FESTIVAL」人気の秘訣は?
―「GREENROOM FESTIVAL」ならではの魅力はどういうところだと思いますか?
やっぱり海の前でやっているっていうのは1つの特徴ですね。だから船がステージの1つとして出せているし、「Save The Beach, Save The Ocean」をコンセプトにしている以上、海風を感じながら楽しんでもらうっていうのもすごく重要だし。あとは横浜っていう、東京からの距離感は魅力なんじゃないかなと思っていて。ストレスがないようにしたいので、近さだったり、無料エリアがある自由感は保っていたいんですね。
―赤レンガ広場を使った無料エリアの充実度はすごいですよね。アートコンテナを模したショップ群で買い物したり、ヨガに参加したり、ギャラリースペースで絵を見たり、昨年からついに無料エリアにライブステージもできて、1日楽しめてしまうくらいです。
無料エリアにいても有料エリアのライブが少し見えたり聴けたりしちゃうけど、うちは閉じない方向性でいたい。やっぱり海は開かれているべきっていうか、本来海岸では老若男女遊べるので。有料エリアは黒幕で囲って見せないみたいな考え方はないですね。
―「インスタ映え」なんて言葉もない頃から、フォトジェニックなデコレーションを施しているのも魅力ではないでしょうか?
雰囲気作りは初年度からすごく気を遣ってますね。Candle JUNEも、ツリーハウスクリエイターの小林崇さんも、もう10年以上の付き合い。デコレーションってなくてもイベントは成り立つけど、ただのトラスだと色気がなさすぎるし、そういうディテールが一番重要というかお酒がおいしくなる要素だと思うんですよね。
―ホントにそうですね。また、船に乗り込んでクルーズしながらDJが楽しめるPARADISE SHIPステージがあるのも「GREENROOM FESTIVAL」の強みで、これはアメリカの船上フェスにヒントを得たとか。
フロリダ~マイアミからカンクンまで行く「ジャムシップ」とか、アメリカはけっこうクルージングフェスが多いんです。ジャンルもレゲエの時もあればジャズ、ロック、エレクトロの時もあって。日本でも、音楽聴きながら1泊かけて沖縄行くとか、奄美大島行くとか、いつかやりたいんですけどね。
主催者に聞く、今年の見どころは?
―2018年のラインナップは現在追加発表中ですが、今年の見どころを教えてください。
なんと言っても見てほしいのはSublime With Romeですね。若い頃、「Santeria」を聴きながらコロナビール飲んでビキニの女の子を眺めるっていうのは原体験でしたからね(笑)。個人的にもSlightly Stoopidの作品のライナーノーツを書いたり、Sublimeのトリビュートアルバムにコメント書いたりもしてたから、すごく思い入れがあるし、フェスを始めた時からオファーし続けてきたバンドでもあるので、出演が決まった時は本当にうれしかったです。14年目にしてやっと手が届いたなって。
―”レゲエの神様”Jimmy Cliffも来ますね。
そうですね。ジミーは一番好きなレゲエのアーティスト。前回出てくれた4年前のライブも神がかってましたね。2年間ほど交渉はしてたんですけどここのところ体調が悪くて難しくて、やっと体調も戻って今年はワールドツアーすることになって、その日本での公演にうちを選んでくれたこともうれしかったです。
―Jimmy Cliffが例えばフジロックに出るのと「GREENROOM FESTIVAL」に出るのとでは、ライブの雰囲気やセットリストが少し変わってくるんじゃないでしょうか。邦楽アーティストもフェスのムードに合わせたステージを用意してくる印象があります。
確かに。うちのフェスは平均年齢層が30代で、他のフェスより高めだと思うんですよ。それに東京や神奈川に住んでいるお客さんが一番多いこともあってみんな耳が肥えてるし、そういうところは音楽的にも反映されてる、アレンジ含めてアーティストも考えてきてくれてると思います。
―オーガナイザーとして「GREENROOM FESTIVAL」を今後どうしていきたいと思っていますか? これからの展望と理想形を聞かせてください。
方向性としては、みなとみらいともっとガッチリ手を組んでやっていきたいですね。やっぱりフェスには余白っていうか、寝転がれるところだったりいろいろな場所が必要で。そういう意味ではみなとみらいの海沿いにまだ公園はたくさんあるし、去年から新設したPORT STAGEがあるMARINE & WALK YOKOHAMAのエリアなども広がってるので、場所とうまく組みながら広げて「SXSW」みたいに街を回れるような形で作っていけたらなと。そのほうがいろんな楽しみ方ができるし、1カ所に何時間も固まってるって窮屈だと思いますから。
また「GREENROOM FESTIVAL」は2015年からハワイでもやっています。海を渡ってハワイまでは行けたので、最終的にはカリフォルニアでやりたい。僕が見たルーツ、「Moonshine Festival」の開催地に戻っていきたいっていう思いは強いですね。
Text:鳴田麻未
Yahooフェス特集より転載
釜萢 直起(かまやち なおき)
株式会社グリーンルームCEO。1973年東京生まれ。町田市で育ち、中学生の時にサーフィンやスケートボートと出会う。日本の大学へ進学するも、サーフィンを諦めきれずオーストラリアへ留学。サーフィンと旅の生活を送る。帰国後、広告代理店勤務を経て、1999年に独立。株式会社グリーンルームを設立し、サーフブランドのブランディング業を主軸に、イベント業やギャラリー、カフェの経営、映画の配給などに携わる。