―K-POPというと、「サマソニ」には2015年の時点で防弾少年団(BTS)が、2010年にはBIGBANGが、2017年には元2NE1のCLが出演していました。「サマソニ」は韓国を含め「アジア」のアーティストを積極的に紹介し続けてきましたが、やっと時代が追いついたと言えそうですね。
先ほどの女性アーティストの話もそうだけど、K-POPに関しても「何でも出そう」とは思っていなかったですね。2012年の「SPRINGROOVE」だったかな、BIGBANGと2NE1をデヴィッド・ゲッタやLMFAOと一緒に出したんですが、「これなら海外でも成功するだろう」っていうアーティストだけをきちんと吟味しながらブッキングしてきた。それが後のBTSやBLACKPINKにも繋がっていると思いますよ。
―「サマソニ」って良い意味でカオスというか、ロックもヒップホップもアイドルもメタルもお笑いも楽しめる世界でも唯一無二のフェスだと思うんですよ。コーチェラはK-POP(BLACKPINK)のアーティストが出演するまでに20年かかったけど、「サマソニ」は10年近く前からそれをやっていた。2009年のビヨンセのヘッドライナー抜擢もそうですが、清水さんの先見の明はどこから来るのでしょうか?
ひとつは「現場」にいることと、「画(え)が浮かぶ」ということですね。2007年にブラック・アイド・ピーズがポップ・フィールドから初めてヘッドライナーとして出演したけど、マリンスタジアムで彼らがライヴをやって、クライマックスで花火が上がったら絶対に盛り上がるよなーって、はっきりと画に浮かんだんですよ。もうひとつは、意外と僕は臆病なところがあるので、先のことを絶えず考えてしまうんです。「このままずっとロック・アーティストだけでブッキングが成り立つだろうか?」とかね。そこで5年、10年とフェスを続けていくなら、ポップスのアーティストにも出てもらわないとダメだよなーって思ったり。そういう臆病な部分と、非難を恐れずオープンにやりながらカタチにしていくっていう自分のスタイルが、結果的に功を奏しているのかもしれません。
―アークティック・モンキーズを大トリに抜擢(2007年)したときも、かなりの大冒険だったのではないかと……(笑)。
デビュー2年目、史上最年少(当時21歳)でヘッドライナーだからねえ。次あの記録を超えられるとしたら、ビリー・アイリッシュぐらいじゃないかな(笑)。
―「コーチェラ」でも凄かったですもんね。一歩も前に行けないくらいの熱狂で。
久しぶりだよね、あれだけの衝撃というか狂騒は。キッズが自分たちのスターを見つけたとでも言うのかな。デイヴ・グロールが「今の彼女には、1991年のニルヴァーナと同じことが起きている」って言ってたけれど、みんなが「救世主」を待っていたのかもしれない。それも、ロックに近いところのアーティストでさ。そういう意味で、デイヴみたいに彼女の親世代に当たるバンドも、そこに懸けている部分はあるんだろうね(笑)。しかも、音楽的には全然ポップじゃないっていうのもおもしろい。
―ミュージック・ビデオとかも、口からクモが出てきたりめちゃくちゃダークですよね。
そういった「闇」の部分も引き受けているのかな。実はお兄ちゃん(フィネアス・オコネル)と一緒に音楽を作っているっていうのも現代的だなって。
―闇落ちしたカーペンターズみたいですよね(笑)。「サマソニ」について個人的にお聞きしたかったんですけど、他の国内フェスが「ロック」と冠する中で、あえて「SUMMER SONIC」とジャンルを限定しないネーミングにしたのは誰のアイディアだったのでしょうか。
そうだね、「◯◯ロック・フェス」っていうのは既に周りにもあったし、「ロック」を入れようっていう発想は無かったなあ。
―今さらですが、「SUMMER SONIC」にはどういった意味が込められているんですか?
フェス立ち上げの前だから、1999年かな。「どんな名前にしよう?」って話になったときに、まず「SUMMER」は入れようと思って。なんで「SUMMER」なのかと言うと、「Summersault」っていうオーストラリアで開催されて1995年〜1996年の2回で終わってしまったフェスがあって、友達が主催していたんですよ。フー・ファイターズ、ビースティー・ボーイズ、ソニック・ユース、ベックとすごく良いラインナップだったのに、チケットの売れ行きが悪くて失敗してしまった。その彼がすごく悔しがっていたのを憶えていたので、じゃあ「Summersault」に近い名前にしようと。それで「SUMMER」の後ろに続く言葉をいくつか考えたときに、「SONIC」という響きがすごくしっくり来たんですよね。
―その彼には「サマソニ」に来てもらったことはあるんですか?
何回かね。でも、今はもう音楽業界は辞めちゃったんじゃないかなあ……。
―最後に、我々もすごく気になっているんですが、来年は「サマソニ」の休止を発表されていますよね。2021年にはまた戻ってきてくれると思ってよろしいでしょうか?
もちろん! だって、クリエイティブマンから「サマソニ」を取ったら、やること無くなって抜け殻になっちゃいますから(笑)。会社の使命としてもこれは絶対ですし、1年お休みすることで、「今のままでいいのか?」っていうのをゆっくり考えていければと思います。ブッキング的にも2年かけて戻ってくるわけだから、またみんながワッと驚くようなラインナップで盛り上げていけたら最高ですね。
Text:上野 功平
Photo:遥南 碧
INFORMATION
ニューヨーク発のキューバンメキシカンレストラン「カフェ ハバナ トウキョウ(Cafe Habana TOKYO)」が、2016年5月に代官山に誕生。ニューヨーカーがお気に入りのブランチスポットとして人気のNY店。1997年、マンハッタンのノリータ地区に誕生した「カフェ ハバナ」は、連日、地元ファンはもちろん、ミュージシャンやモデルなど、セレブたちも行列するというお店。ニューヨーク、カリフォルニア、ドバイに続き、アジアでは東京・代官山に初出店になりました。NY本店の看板メニュー。セレブたちの好物という、とうもろこしを焼き上げ、チーズを豪快に振りかけた“グリルドコーン”をはじめ、またシェフこだわりのハムとチーズ、自家製ローストポークをたっぷり挟んでプレスしながら焼き上げた“クバーノ(キューバン サンドイッチ)”をぜひ1度お試し下さい。飾らないダイナーの雰囲気に癒され、グリルドコーンやローストポークに元気をもらって下さい。(公式サイトより)
Cafe Habana TOKYO
住所:東京都渋谷区猿楽町2-11氷川ビル1f
公式サイト