富士山に見守られた祝祭
開催前日は相当量の雨が降ったとのことだったので、心配しながら現地に着くと想像したぬかるみもさほどなく一安心。会場を歩いてみると、目当てのアーティストに間に合わないとテント設営を急ぐ人や、昼からバーで一杯始めているグループなど、野外フェスらしい光景を目の当たりにすることができ、フェスの復活を感じた人は多かったのではないだろうか。
懐かしい景色が戻ってきただけでなく、感染症対策もしっかり行われるのが2022年のフェスの光景。ステージ前にはソーシャルディスタンスを保つためのポインターや間仕切りのガーランドなどが配置され、ライブでの人との接触がなされないような工夫や会場随所における注意喚起などがみられた。
また、会場でアウトドア関連用品が多く販売されており、そのなかでも注目を集めていたのはキャンプ・登山用品の買取専門店。使わなくなったアウトドア用品のリユース品がお手軽価格で販売されており、欲しかったギアを買う人や、当日忘れたものを買い足す人など(中にはテントを忘れて買ったという人も)多くの人が訪れていた。その他にもステージ間の行き来の途中にアルパカや馬、ウサギにヤギといった、フェスではなかなかない動物との触れ合いもでき、子どもたちだけではなく大人も楽しんでいたのが印象的だった。
3つのステージで繰り広げられるライブはどんぐりずやGEZAN、んoonといった新鋭アーティストから、スチャダラパー、KIRINJI、奥田民生などベテランまで、ジャンルや世代を超え幅広く楽しめるラインナップで、フェスならではの新たな音楽との出会いを体験できる機会になっていた。個人的なハイライトとしては、フジファブリックが「若者のすべて」を演奏した途端に曇天から日の光が差し、隠れていた富士山が顔をみせた瞬間。こうした大自然も巻き込んだミラクルも野外フェスだからこそ体験できる感動的な瞬間だろう。
まだまだ感染対策は必要とはいえ、野外フェスが戻ってきた。今年の「FUJI&SUN ’22」はそう感じるに足る満足度の高いフェスだった。富士山を見渡せる素晴らしいロケーションで、また来年この景色と音楽を楽しめる日が今から楽しみだ。
Photo&Text:Yuya Etoo
【FUJI&SUN’21現地レポ】富士山バックの”ちょうどいい距離感”がテーマのキャンプフェスに行ってきた【#FJPodcast 5月29日配信】
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