フェスシーンを支える裏側にスポットライトを当てる「Behind the Fes」シリーズ。今回は、「SUMMER SONIC」、「GREENROOM FESTIVAL」、「New Acoustic Camp」「京都大作戦」「イナズマロックフェス」など、国内の大型フェスからキャンプフェスまで、様々なフェスのキッズエリアを運営するSMILEKIDS GROUP代表MASARI先生(本業は保育園の園長先生!)に日本のフェスのキッズエリア事情から今後の展望まで語ってもらった。
INTERVIEW:SMILEKIDS GROUP MASARI先生
-まずは自己紹介をお願いします。
株式会社SMILEKIDS GROUPの代表をしております、岩田です。周りからからは、MASARIと呼ばれています。
-まずはSMILEKIDS GROUPの活動について教えてもらえますでしょうか?
SMILEKIDS GROUPは、子育て支援活動を軸に保育施設の運営やイベント事業、習い事などの各教室事業など、子どもたちに関わる仕事をしています。その中のイベント事業の中で、音楽フェスのキッズエリアを展開しています。
-日本全国のさまざまなフェス会場でお見かけします。
ロックフェスやキャンプフェス、都心型のフェスなど幅広くキッズエリアを展開させていただきありがたい次第です。また、音楽フェスだけでなく、商業施設、コミュニティセンターなどからもたくさんのお仕事の依頼をいただき、2019年度は全国43ヶ所でキッズエリアを運営することができました。今回は、音楽フェスのキッズエリアの必要性や家族のあり方のお話できたらと思います!
-よろしくお願いします。普段MASARIさんは保育園の園長さんをしているとお聞きしました。
26歳の時に託児所を設立し、30歳で認可のお話をいただき、今に至ります。平成27年度に国による待機児童対策「子ども・子育て支援新制度」がスタートして、それに合わせて0歳から2歳までの小規模認可保育施設を設立し、今年で6年目を迎えました。
-保育園という仕事がありながら、そもそもどういったきっかけでSMILEKIDS GROUPがスタートしたのですか?
保育園を設立したときから、園だけじゃなく、自分の得意分野を活かして子どもたちやその家族にフィードバックできたらとずっと思っていました。例えば、昔サッカーをやっていて指導者の資格も取得していたので、サッカー教室を開講したり、キャンプが好きだったので毎年保育園の行事として、一般の方も呼んでキャンプ教室を開催していました。
-同じように音楽フェスも好きだった、と。
そうなんです。元々音楽が好きで、はじめて行ったフェスが「タイコクラブ」でした。そこでたくさんの親子連れを見かけ、フェスにもキッズエリアがあったらより家族でフェスに来やすくなると思い、いろんなところに営業をはじめました。
-一番はじめにキッズエリアを展開したのはどのフェスだったんですか?
最初にキッズエリアを展開させていただいたのは「タイコクラブ」と「グリーンルーム」ですね。ほぼ同時期にスタートしました。
フェスは子育てにも最適の場!?
-キッズエリアを運営するときに大切にしていることはありますか?
僕たちがフェスでキッズエリアを展開する際に心がけていることは、主に以下の点です。
・親の趣味を通して親子同士が集える遊び場の提供
・子育て親子の交流の場の提供と交流の促進
・子育てに関する相談や援助の実施
・フェスを通してのキッズエリア、子育て関連の情報の提供
今、フェスに限らず社会全体でも問題となっているのが、子育て支援としての活用の場が不足しているということです。情報が得られず、どうしたらいいか困っている親御さんがいらっしゃいます。
-子どもができたからフェスは卒業という人も周囲にたくさんいます。
そう思います。核家族や地域のつながりの減少、ひとり親家庭による孤立など、家族や地域の中で子育ての知恵や経験を共有することが難しい状況があります。子育てに対して、周囲の手助けを求めにくくなっている傾向も考えられます。また、父親は、長時間労働等によって家事・育児への関わりが十分でない中で、母親の子育てへの負担が大きくなり、子どもを育てる中で、不安や悩み、相談することもできない環境があったり。そんな悩みを少しでも抱える家族が、集える場や遊べる場をたくさん提供していきたいと思ってます。
-音楽フェスもそのひとつの場所として機能できると?
そう思っています。音楽フェスも十分に子育て支援をできる環境です。「音楽が好きなのに、子どもがいるから音楽を聞かない。フェスなんて行けない。」という方は多いとは思いますが、自分の趣味を我慢するより、音楽やフェスという同じ趣味を持った親子の出会いや交流を大切にしながら安心して子育てができる環境づくりを提供する必要があると思います。
-その場限りの関係だけでない家族づきあいが生まれるかもしれないですね。
家族同士の交流があって、毎年同じフェスで再会できる。安心して家族で参加できるようになっていくと、親世代の参加者の満足度が上がり、フェス自体の質も高くなっていく気がします。僕たちが提供するキッズエリアがそんなきっかけになれたら嬉しいですね。
-いつか若い世代も子どもを連れてきたいと思うようになったり。
そうですね。もちろん若い世代がすぐにはそういう未来を想像できないかもしれないですが、フェスに子どもがいるのを見て、マナーに気をつけるようになるかもしれないし、なかなか街ではできないけれど、フェスだと、例えばベビーカーを持つことを手伝ったりなんてことがあるかもしれません。音楽フェスに来る家族連れを見て、若い世代も「いつか子どもと参加したい」と思えるような見本となれば良いですし、それが今の音楽フェスのあり方だと思います。
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