進化するフェス=コーチェラ!?
2018年参加時は、アジア系の参加者が少なく感じたが、今回は韓国人アーティスト初のヘッドライナーとなったBLACK PINKやJackson Wang、DPR LIVEなど韓国系出演者が多かったこともありアジア系の参加者がかなり増えた気がした。LAの空港でシャトルバスを待っていた時も、韓国から来た女性2人組とか、タイから来たという男性グループにも遭遇。会場内にも、各出演者の出身地が描かれたマップが飾ってあった。
フードベンダーもよりワールドワイドになっており、韓国系チキンやおにぎり屋さんも大人気。ポテトやタコス、バーガーばかりのアメリカのフェスティバルは、胃がもたれがちなのでおにぎりは非常にありがたい。個人的に今年良かったのは。SUNNY BLUEのおにぎりとJERK CHICKENのカレー。見た目は微妙かもしれないが味はバッチリ!しかしスモールで$20もした。日本だと並盛くらいの大きさ。アイスやコールドドリンクは安定の美味しさで種類も豊富なので、色々試してほしい。アルコールエリアは21歳以上のパスがないと入れないので、入場の際にはパスポートを忘れずに。値段は高いが、クラフトビールの種類が豊富なので、ビールに飽きない。
ゴミ箱アートにひそかにいた「チェーンソーマン」。多くの人が写真を撮っていて、アメリカでのアニメの人気を実感。米津玄師などアニメ主題歌を担当する日本人アーティストをコーチェラで観られる日は近いかも?
誰もが楽しむことができるフェスティバル
フェスティバルという場所は地球上でもっともダイバーシティな場所かもしれない。特にコーチェラは、会場や演出の随所に誰もが楽しめるような工夫を感じることができる。(チケット代や飲食の費用は除く)例えばトイレはオールジェンダートイレになっているし、カリフォルニア州の名門大学UCLAがスポンサーでLGBTQのブースもあった。ブースにはフォトスポットやカラオケタイムもある。ホットパンツを履いてメイクをしたり、思い思いに着飾った彼らの姿はとても楽しそうだった。
アーティストにもよるが、手話通訳がいるステージもある。もはや手話通訳者もパフォーマーのひとりである。コーチェラは元ポロ競技場を使用しているため、平坦で車いすの人でも楽しむことができる素晴らしいフェスティバルである。どんなジェンダーアイデンティティの人も国籍、宗教の人も、誰もマイノリティを感じずに楽しむことができるように工夫を凝らしている。
高額なチケット代に対して、それだけの価値があるフェスティバルだとは思う。ディズニーランドばりに常に清掃スタッフがいて、トイレも基本的にはフジロックやグラストンベリーほど汚くなく、ペーパーもよく補充されている。砂漠の暑い環境の中でも日陰の場所もあるし、水道水は無料。コンパクトな会場にも関わらず、サウンド環境も素晴らしい。スポンサーのニュートロジーナによるフリーの日焼け止めだってある。
2018年に行った際は、ホテルと会場の往復シャトルのパスをチェックされなかったり、帰りのシャトルが死ぬほど並んでめちゃくちゃ疲れた記憶があるが、今回、パスはかなりシビアにチェックされた。帰りのバスは多少並んだものの、15分程度でだいぶ改善されていた。また、アルコールは21歳以上が入れるアルコール販売エリアでのみ飲むことができたが、今年は販売する場所は21歳以上エリアのみなものの、飲む場所の制限はなくなっていた。コーチェラも毎年アップデートをしている。
日本からLAまで10時間、さらに空港からコーチェラの会場付近まで約3時間。円安とアメリカのインフレのおかげで費用は相当かかってしまう海外フェスになってしまったが、費用以上の感動と体験ができることは間違いない。ついでにエンジェルスの大谷選手やレイカーズの八村選手の試合を観ていくこともおすすめしたい。とっておきのエンタメ体験ができるはずだ。イギリス、スペインのフェスに行ってみたが、やはりアメリカは違う。エンターテイメントに懸ける本気度が。イギリスは音楽フェス発祥地だが、アメリカはフェスティバルだって商業エンターテイメント。ディズニーランドみたいにしてしまう。その分、誰でも楽しめるのがアメリカのエンタメの良いところだと思う。
ベストアクトは誰?と聞かれると難しい年だった。2018年は誰もが口をそろえてBeyonceだった。今年は参加者の好みに分かれるベストアクトだと思う。一緒に行った友人たちとも意見がバラバラだった。個人的にひとつに絞るのは難しく、Porter Robinson、Jackson Wang、Frank Ocean。それぞれコーチェラでしかできないステージパフォーマンスだったように感じた。既に来年のヘッドライナー予想が始まっているが、果たしてどんなコーチェラになるのか楽しみである。またこのサンセットを観るためにコーチェラに戻ってきたい。
Text:Eriko Sakai
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