フェス主催者インタビュー|KOYABU SONIC主催・小籔千豊

復活のきっかけはチャットモンチーとのあの舞台

-音楽のブッキングは、どのようにされているんですか?

僕が前から好きな方、あるいは嫁はんが見たい方、普段かわいがっていただいてる方、ですかね。それでいうと、エゴラッピンさんに至っては、たまたまコヤソニ第1回目の翌日にスチャダラさんと会ったそうで「昨日コヤソニっていうのあってめっちゃおもしろかったんだわ」という話をスチャダラさんから聞き、すぐにマネージャーさんがこちらに連絡を取ってきてくれた、という。

-そんな流れが!

ちなみにキョンキョンもそういう流れでした。たまたま大阪にプロモーションで来られた際に僕がレポーターで会いに行くことになったんですが、そこで「コヤソニってやってるんでしょ?サマソニもいいけどコヤソニも出たいなあって言ってたんだよねえ」と本人自ら言ってくれて。そうやっていろんな方が集まってくださってもいてありがたかったのですけど、ビッグポルノの活動を休止するとなったときに、これは一度やめないといけないだろう、となりまして。

-そこはきっちりと、だったんですね。

「僕らビッグポルノのためにお願いします」と始めさせてもらった場だったので。もちろんコヤソニ出てくれてる皆さんには「やめるな」と言われたんですけど、一旦、筋通してやめますと。「でも、何らかの形で必ず復活はさせます」と、コヤソニラストの2014年当時に言っていました。

あと、2012年からドラムレッスンを始めてたんですよね。それで周りから「バンド組まないとドラム上手くならんぞ」と言われていたこともあって、じゃあこれを機に新しくバンドを組もう、と2014年のコヤソニラストと同時に決意しました。そうして、2015年に『吉本新喜劇ィズ』というバンドを結成。一年間この新しいバンドで練習をし、2016年に表舞台で活動を開始、そして 2017年にコヤソニ復活、という流れでした。

-ドラムも、コヤソニに出演するチャットモンチーのステージのために、当時助っ人として始められたんですよね?(チャットモンチーは2012年にドラム高橋久美子が脱退)

そうです。「チャットさん、2012年も出て頂けるとのことで。よろしくお願いします」と話をしていたら「うち、ドラムやめるんです」とふたりから聞きまして。誰か入れることはなく、ふたりのどちらかがドラムやったりしていきますといわれました。「でもシャングリラなんかはドラムから入るし、どうするんですか?」と尋ねたら、「うーん、あれは次のコヤソニではできないかもしれないです」と。「でもお客さん絶対聴きたいですよね……そしたら僕、練習してシャングリラのドラムをマスターできたら、あなたのギターとあなたのベースでお客さんもあの曲を聴けるんではないですか?僕練習してもいいですか?」と言ったらば「いいですよ」と、チャットモンチーのおふたりが言って。そこから猛練習ですよね。仕事以外の時間ずーっとドラムレッスン入れてました。あのとき、人生で一番努力したかもわからんですけど(笑)。

で、本番終わりましたら、今度はあの2012年に出てくれてたアーティストの方々がステージを見ていて「いつのまにやっててん!!」「続けろ続けろ!」というモードになっていて。絶対このままやったほうがいいよ、とコヤソニ周りの人がたくさん言ってくれたご縁で、その時点で「ドラムは趣味として続けていこう」とは思ってました。チャットモンチーさんがくれたきっかけで始まった僕のドラム人生、ですね。しかも昨年にコヤソニが復活できたのも、チャットやコヤソニメンバーがドラムやれと言ってくれたていたおかげですよね。ジェニーハイを今やっているのもドラムを始めていたおかげだし。全部チャットさんがきっかけということですよね。『吉本新喜劇ィズ』にはあっこちゃんさんも入ってもらっているし、僕にとって彼女たちは“音楽のお母さん”ですよ。

-チャットモンチーとの素晴らしいきっかけから小籔さんのジェニーハイとしての活動も本格化していかれて。ある意味、小籔さんの人生の中でも音楽活動のピークのような時期ですが、そんな今年のコヤソニ、特に見どころなどあれば教えていただけますか?

そうですね、僕はこのコヤソニを「大きくしたい」と思ったことは一回もないし、豪華にしたいとも思っていないんです。ただ、これまでに出てもらった人にまた何度も出てもらいたいし、そうやって出て頂きたい人を積み重ねていったら遂に3日間になってしまった、ということでしかない。あとはステージがひとつだけ、というのもこだわりで、出ている人全員をお客さんには見てもらいたいし、自分で全てのステージ終わりに「ありがとうございました」と舞台上へ言いに行きたいわけです。しかも、ゲスの極み乙女。も土肥ポン太もCOWCOWも全部同じレベルに扱いたいから、誰かの裏で誰かを見られないっていうことがないようにしたい、と。

そんなわけで“今年も、去年のように開催できる”ということが、毎年の目標です。もし毎年上がっていったら、10年後のコヤソニはそれこぞレディガガ呼んでトランプ大統領呼ばな、お客さん満足しなくなってきますから!

-確かに(笑)。どんどん上昇していくことが目標ではない、と。

そうです。だからコヤソニの見どころは「出んでもいいのに出てくれてる人ばっかりで雰囲気が本当にいい。いちばん“いい人”たちが出てくれてるフェス」ってことやと思います。優しい雰囲気が魅力。あとはお笑いオタクだった僕にはお笑いを見る目がありますからね。お笑いのラインナップに関してはどこよりもボロ勝ちやと思ってます。

-そこは、とても大事ですね。

僕が好きな優しいアーティストさんと、僕が選んだオモロいえげつないお笑いの人たちが出てくれてます。そう、鶴瓶さんがちょいちょい来てくださるんですけど、初めて来てくれたとき、タクシー降りてすぐに、わーっと楽屋を5分くらいで一周して僕のところ来て、舞台見る前から「お前このイベント最高やな」って言ってくれたんですよ。「なんでですか?」って聞いたら「楽屋の雰囲気見たらわかるわ。ええ奴しかおらんやろ。めっちゃいい雰囲気のイベントやわこれ」とおっしゃって。そこには自信があります。“鶴瓶さんも認めた、めっちゃええ人と、めっちゃおもしろい人しか出てないフェス”という。あとは、屋内開催なのでね、今年の暑さでも安全です!

-いやはや、なんかもう完璧ですね。今年の3日間も楽しみです。今日はありがとうございました!

Photo: Yuya Eto/オフィシャル提供
Text:鈴木絵美里

KOYABU SONIC 2018

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