20年以上の歴史を持つ東京・渋谷を代表する都市型音楽フェス「SYNCHRONICITY’26」と東京発のショーケース&カンファレンス・フェス『CUEW Showcase & Conference』がコラボレーションし、4月9日(木)から12日(日)までの4日間にわたり、渋谷の街中にてカンファレンスとフェスティバルが行われる。
既存の人気フェスと新しく立ち上がったショーケースフェスとのタッグという、初の試みに向けて、日々目まぐるしく状況が変わる中、複数回にわたり、主催者にインタビューを実施。今このタイミングで”ショーケースフェス”を行う意義と今後の展望、そして具体的な連携の内容について、シンクロニシティ麻生潤、CUEW野村優太の2名に語ってもらった。
音声配信はFestival Life Radioから▼
関係者とアーティストを繋ぐショーケース
そもそも”ショーケースフェス”というのがまだまだ日本では一般的ではないとは思うのですが、改めてどういったものか説明してもらってもいいですか?
野村:いわゆる見本市みたいなもので、音楽業界の関係者とアーティストを繋ぐ場所です。アーティストは関係者の前で演奏し、その後、デリゲーツと呼ばれる関係者とミーティングなどをして交流を深めます。お互いがマッチすれば、そこからレーベル契約やフェスへのブッキングに発展することもある。大枠で捉えるとB to B向けのイベントですが、もちろん一般の方も来場することができます。
麻生:うん、ショーケースは、基本的にB to B向けですよね。シンクロニシティはフェスなのでto C 向け。そこにまず明確な違いがありますよね。あと、ショーケースは業界向けというのもあり、悪く言うと品定めみたいな形になってしまうこともあるし、アーティストも一般来場者がいない分パフォーマンスがやりづらい部分もあったりもします。
野村:また、ショーケースは基本アーティストの自費で出演してもらうのが多いです。ただ、そこには限界もあると思っていて、僕がやるのであれば、しっかり成果を出しやすい仕組みが大事だと思いました。特に、お客さんが入ることによってパフォーマンスに熱量が生まれる。そしてデリゲーツの方がお客さんの入った熱量の高いパフォーマンスを見ると、特にフェスティバルの主催者の方は自分のイベントに呼ぶイメージがしやすい。特にシンクロニシティのお客さんは熱量も高いので、そういった方々に見てもらう必要性は凄く重要だと感じています。
“デリゲーツ”についても説明をお願いできますか?
野村:デリゲーツというのは、イベント側がオフィシャルに参加していただく音楽関係者です。4月のCUEWでは、海外から100人ぐらいの音楽関係者をデリゲーツとして招待します。いわゆるインターナショナルデリゲーツ。フェス主催者やブッキングエージェントなどの方々がメインです。
麻生:日本ではまだまだ一般的な言葉ではないので、僕は、「キーパーソン」という言葉に変えて案内していますね。
デリゲーツの中には、登壇したりして講演をする方もいれば、音楽ライブを観るのがメインという方も?
野村:そうですね。そこに温度差はありますね。様々な方を世界中から招いて日本のアーティストや日本の音楽市場を見てもらうというイメージです。
沖縄のMusic Lane Festivalをはじめ、日本にもショーケースフェスはありますが、まだまだ数が少ないという認識であっていますか?
野村:そうですね。そこは行政の支援の有無や規模が大きいと考えています。韓国や台湾をはじめとしたアジア各国、もちろん欧米にもショーケースがあるのですが、これは行政の支援で成り立っている部分が大きいです。しかし、日本ではそういった支援は少なく、チケットの利益だけで賄わなければならないので、財政面でかなり厳しくなってしまう。これが日本でショーケースが広まらない原因だと考えています。
逆の考え方をすると日本の音楽産業は行政の支援がなくても市場が成り立っていたので、そういったことが発展してこなかったという部分もあるのでしょうか?
麻生:そうですね、日本は人口が多いので、今までドメスティックなマーケットだけで成立していたっていうのは大きいと思います。だけど、これからはどんどん人口が減っていくし、サブスクリプションも登場して音楽の聴かれ方が変わってきています。そういう状況や危機感も含めて、日本の音楽関係者も意識が変わってきています。日本の音楽市場を盛り上げていくには、やはり海外へ出ていかなきゃいけないですよね。
ショーケースフェスの成功例として一番に上がるのはSXSWだと思いますが、お二人はSXSWをどう捉えていますか?
野村:SXSWの成功の要因のひとつは、アメリカのマーケットの大きさがあると思います。アメリカ内でも文化が違うから、一か所に集まってアップカミングのアーティストが見れるということに需要がある。
麻生:僕は成功要因というと理由が3つあると思っていて、一つ目は、アメリカは多民族国家で多様な音楽があること。二つ目は、圧倒的に音楽市場が大きいということ。三つ目は、企業側もその多様なクリエイティビティを受け入れ、音楽へ投資する土壌が整っていることです。いわゆるポップミュージックとしての音楽の歴史も深いし、音楽の中心地。そういう要因が相まってSXSWも成長したんだと思います。
シンクロニシティ×CUEW連携の裏側
シンクロニシティとCUEWがタッグを組むことになったきっかけを教えてください。
麻生:シンクロニシティでは以前から国際交流と日本アーティストの海外展開を意識してアジア圏のアーティストを呼んでいたのですが、コロナ禍以降、それをより加速していく必要があると考えていて、日本のアーティストが世界に羽ばたくための仕組みづくりが必要だと考えていました。その一つとして、SXSWをモデルに、シンクロニシティとしてフェスの中で海外展開の仕組みやカンファレンスを作ろうと思っていて、実際に仕込んでいたんですよね。でも同じタイミングで「CUEW」が動き始めたので、一緒に動いていこうということになりました。
野村:僕自身は個人として、海外のショーケースフェスのデリゲーツとして招かれる機会が増えてきたのですが、そういう場に日本人が少なかったり、そもそも日本にはショーケースフェスティバルがないと感じていました。そういったことに焦りを感じて、日本のアーティストがより世界に羽ばたける仕組みを作りたいと感じたことを麻生さんとよく話していました。
去年8月はCUEW単体での開催でしたが、単独開催の想定もあったのですか?
野村:実は今回の4月も、シンクロニシティの2週間後ぐらいにやろうという話がありました。ただ、シンクロニシティには、熱量が高く、世界にも羽ばたいていけるアーティストが多くラインナップされているし、麻生さんとの関係もあるのでシンクロニシティというプラットフォームと組むことによってより良いものができると思ってタッグを組ませてもらうことになりました。
野村:アーティスト側も、シンクロニシティに出られるし、我々が音楽関係者の招聘を担当すれば、それこそ相乗効果があると思っています。
麻生:野村さんはじめ、CUEWチームは以前から知った仲で、世代や感性も近いし、一緒に組めば面白そうだなって。音楽業界に対して抱いている危機感も一緒でした。アジア圏の業界人やアーティストはみんな交流してグローバルな視点で動いているのに、日本だけ置いていかれていると感じることも増えてきました。今すぐに取り組みを始めないと、日本だけ取り残されてしまう。そんな残念なことはないですよね。CUEWチームは海外とのコネクションが沢山あるし、シンクロニシティはこれまで積み上げてきた実績があるので、凄くシナジーがあると感じています。
それではここから、具体的な内容について教えてください。
野村:「CUEW」は4月9日(木)と10日(金)の二日間にわたり、Dragon Gate(渋谷パルコDGビル 18F カンファレンスホール)にて、ショーケース&カンファレンスを行います。基本的には交流会と座学です。デリゲーツは、アジアだけでなくオセアニアや、ヨーロッパ、アメリカなどから100名程度が参加します。
どういったカンファレンスがありますか?
野村:CUEWのカンファレンスは、いわゆる「話を聞いて終わり」の場にはしたくない、という思いがあります。ライブとしっかり連動させながら、参加された方が具体的な学びや出会いを持ち帰れて、次のアクションにつながる内容を大切にしています。
プログラムとしては、海外のプロモーターやエージェント、フェスティバル関係者などをお招きして、各国・各地域のマーケットの状況や、いま現場で起きている変化について共有していただくセッションがあります。加えて、アーティストのブランディングやプロモーション、ツアーの組み立て方、国境を越えたコラボレーションの進め方など、実践的なテーマも扱う予定です。アーティストを含めた音楽関係者の皆さんにぜひ参加して頂きたいです。
どんな方に来場してほしいですか?
野村:海外に目線を向けたいけど、まず何をすべきか分からない業界関係者はもちろん、海外には実際行ったけど今後どうすべきか分からないという方まで、幅広い方に来ていただきたいと考えています。我々のチーム名「CUEW」は「きっかけ」という意味も持っています。何か目的意識を持って学ばれる方同士でも交流してほしいと考えています。
基本的には、日本人のセッション以外はすべて英語で行われる認識であっていますか?
野村:そうですね、8割が英語になるかと思いますが、英語のセッションには同時通訳も入るので英語が苦手な方も安心してください。
カンファレンスだけでなく、週末のシンクロニシティ開催中のCUEWの役割は?
野村:今回シンクロニシティの中でCUEWがステージの枠を借りてブッキングを行いました。公募と我々が海外で実際に見て声をかけてという形で、海外のアーティストを計110組ほどブッキングしています。同じステージではなく、各ステージにスロット(枠)をもらって、出演してもらう予定です。
イギリスのAdult DVDや、インドネシアのBasajanなど日本初ライブとなるアーティストも含まれていますし、さらに今日本でも人気が出始めている韓国のDabdaや、過去に解散して復活し日本にも待望していたファンが多いタイのGYMV、indigo la End の川谷絵音さんとのコラボ曲を発表しているオーストラリアのYorkeなど、国内ではなかなか体験できない国際色豊かなショーケースステージを体感できる貴重な機会になる予定です。
麻生:CUEWブッキングのアーティストも素晴らしいので、この機会にぜひ観てほしいですね。あとこれはCUEWとの取り組みではないですが、国際交流と海外展開のひとつとして、台湾最大級の野外フェス「Vagabond Festival」とパートナーシップを結んでいて、ブッキングエクスチェンジやコラボレーションを行ったりしています。今年も共同オーディションを通して、台湾アーティストが二組出演します。The CraneとBugs of Phononというアーティストなんですけど、いずれも台湾では著名なアーティストなので、ぜひ合わせて注目してほしいです。
それではそれぞれ最後に一言。
野村:CUEWのキャッチフレーズが「A CUE FOR THE NEW, A NEW FOR THE CUE.」なのですが、新しいきっかけを持ってかえることができる、アジアのハブとなるようなプラットフォームを作っていきたいと思っています。基本的には音楽関係者向けですが、とにかく音楽が好きな方や、世界の音楽市場で起こっていることを学びたい方にも足を運んでほしいですね。
麻生:シンクロニシティのテーマは「CREATION FOR THE FUTURE.」なので、僕らのクリエーションを通して音楽の未来に繋がっていったらと思っています。今日の話って、なかなか分かりづらいところもあると思うけど、シンクロニシティは一般来場者の目線を大切にしたいなって思っているので、参加していただく方に、「何かワクワクするようなことが起こりそう!」って感じてもらえるようなムードを作りたいなって思ってます。
Text:信田正瑛
Photo:Official
出演アーティスト
4月11日(土)
Original Love Jazz Trio
SPECIAL OTHERS
MONO NO AWARE
Mega Shinnosuke
PEDRO
さらさ(Band Set)
Kan Sano(Band Set)
BREIMEN
奇妙礼太郎BAND
ZION
NIKO NIKO TAN TAN
SUNNY CAR WASH
Homecomings
ハク。
She Her Her Hers
DYGL
No Buses
8otto
ヒトリエ
The Novembers
Lillies and Remains
downy
world’s end girlfriend
tricot
JYOCHO
ひとひら
雪国
yeti let you notice
水中スピカ
cephalo
Blume popo
リュベンス
fox capture plan
paranoid void
JABBERLOOP
Daoko
tofubeats
ExWHYZ
DÉ DÉ MOUSE
Jeremy Quartus
luv
Billyrrom
chilldspot
the engy
浦上想起・バンド・ソサエティ
Czecho No Republic
フレンズ
エルスウェア紀行
soraya
goethe
Arche
BLACK BERRY TIMES
笹川真生
皆川溺集合体
171
the bercedes menz
ルサンチマン
北村蕗
lilbesh ramko
HUGEN
Meg Bonus
さらば帝国
タデクイ
TiDE
The Crane(Taiwan)
RADIOHOP(Netherlands)
Wellsaid(Hong Kong)
Basajan(Indonesia)
Dabda(South Korea)
Yorke(Australia)
GYMV(Thailand)
Ko Umehara
DJ New Action!
4月12日(日)
渋さ知らズオーケストラ
ZAZEN BOYS
FCO.
kurayamisaka
betcover!!
bacho
downt
サニーデイ・サービス
眞名子新 (Band Set)
urema
the band apart
People In The Box
MASS OF THE FERMENTING DREGS
mouse on the keys
toconoma
jizue
LITE
Rega
mudy on the
昨晩
QOOPIE
Suspended 4th
Helsinki Lambda Club
家主
ドミコ
TENDOUJI
どんぐりず
SUSHIBOYS
lil soft tennis
Neibiss
oops cool
TURTLE ISLAND
saccharin
神聖かまってちゃん
モーモールルギャバン
トップシークレットマン
sidenerds
moreru
SuiseiNoboAz
板歯目
せだい
Khaki
aldo van eyck
Trooper Salute
揺れるは幽霊
Hammer Head Shark
VELTPUNCH
板歯目
新東京
S.A.R.
スーパー登山部
brkfstblend
Emerald
HALLEY
CHIANZ
やさしいみらい
aint lindy
Black petrol
永井琳子(Band Set)
SYAYOS
DOGO
Bone Us
Adult DVD(United Kingdom)
ena mori(Philippines/Japan)
VEGA(Thailand)
Rum Jungle(Australia)
Bugs of Phonon(Taiwan)
Phoebe Rings(New Zealand)
Fat Hamster & KANG New(South Korea)
Ko Umehara
DJ New Action!
「CUEW Showcase & Conference」×「SYNCHRONICITY’26」に11組の海外アーティスト出演
150以上のフェス情報を掲載!「フェス旅 日本全国音楽フェスガイド」4月発売決定。10-FEET、西川貴教、TOSHI-LOWのインタビューも収録


