フジロック出演直後のスーパーオーガニズムにインタビュー「トリッピーで、クレイジーで、美しい体験」

KEEN×Festival Life特別企画として、フジロック会場内グリーンステージ奥のKEENブースにてアーティストにインタビューを実施。今回インタビューに登場してもらうのは、フジロック最終日に出演したSuperorganism(スーパーオーガニズム)のハリー&オロノの二人。バンドとの親交の深い小田部仁を聞き手に、フジロックでのライブの感想、さらにKEENとの思い出について語ってもらった。

7月に2ndアルバム『WORLD WIDE POP』をリリースし、今回、4年ぶりにフジロックに出演したSuperorganism。前回、2018年のRED MARQUEEでのライヴはそのエモーショナルでパンキッシュなアティチュードと、ポップ・ミュージックの持つエネルギーが爆発する凄まじいパフォーマンスが多くの話題を呼んだ。ニューアルバム収録の楽曲に描かれているモチーフの一つである「宇宙」を想起させるブラックの衣装に身を包み、クールに堂々たる様子でWHITE STAGEに登場した5人。アルバム・リリース後、新体制での初めてのプロパーなショーとなった今回のスペシャルなフジロックでのステージに関して、ハリーとオロノの二人に話を聞いた。本取材はアウトドア・ブランド『KEEN』のサポートの下、フジロックでのライブ終了直後に行ったが、二人とも(特にオロノが)KEENが以前から大好きなブランドだったことが判明!取材終了後にはスタッフと大盛り上がりしながら大いにシュー・ショッピングを楽しんだのであった。(Text:小田部仁)

あらゆる意味でスペシャルなショーだった、フジロック2022


ー先ほどは、ライヴお疲れ様でした。すごい盛り上がりでしたね。フジロックには、2018年にRED MARQUEEに出演して以来、約4年ぶりにカムバックしたわけですけど、いかがでしたか?

ハリー: フジロックは世界を見渡してみても、最高のロックフェスの一つだよね。日本の山って、なんかヴァイブスが好きなんだよね。美しい森と丘に囲まれたステージの上で演奏しながら、目の前にいるオーディエンスが歌い、僕らの新曲を聴きながら飛び跳ねている様子をみるのは、とびきりトリッピーで、クレイジーで、美しい体験だった。

オロノ: 最高だったね。

ープロパーなショーは、2019年以来だったんですよね? メンバーが5人になって、しかも2ndアルバム『WORLD WIDE POP』をリリースしてから初めてのショーが、今回のフジロックという特別なステージだったわけですよね。

ハリー: あぁ、そうなんだよ。一応、1回だけライヴはやったにはやったんだけど、それはウォームアップのためのリハーサルみたいなものだったし、『WORLD WIDE POP』のプロモーションのためにやった、レコード・ストアを廻るミニ・ツアーはアコースティック・セットだったから。このフジロックが全部周到に準備して臨んだ初めての大きなショーだったんだ。

オロノ: うん、クールなショーができたと思う。

KEENは憧れであり、パーフェクト

ー後で、もう少しライヴについてはお話伺いたいんですけど。今回のインタビューはGREEN STAGE横の『KEEN』のブースを貸切にした状態で行っていて。後で、二人には好きなKEENのフットウェアを選んでいただければ、と。

オロノ&ハリー: イェーイ。

ー二人とも、この取材を受けるのをすごく楽しみにしてたって小耳に挟んだんですけど。

オロノ: そう。そもそも俺、KEENが大好きで。今日は、ずっと楽しみにしてたんだ。ショーが終われば、新しいシューズが貰える! ……って、一日中待ち焦がれてた。

ーそんなに?!

オロノ: ハイキングが趣味なこともあって、デザインがクールで機能的なシューズが好きなんだけど、そういう意味でKEENはパーフェクトなブランドだと思うんだよね。

ハリー: ロックフェスに行くときって、靴がすごく大事だよね。イギリスでは「ウェリーズ(ウェリントン・ブーツ)」っていうプラスティックのレインブーツが、フェスに行く時の必需品なんだけど。フェスに限らず、いかなる状況においても、フットウェアにこだわることはすごく大事なことだと思う。

ーKEENのフットウェアって、持ってます?

オロノ: それに関しては、ちょっとした思い出話があって。子どもの頃から、ずっとKEENの靴に憧れてて。でも、当時の自分のお小遣いではちょっと手の届く値段じゃなかったんだよね。だから、家族とアウトレットに買い物に行くたびにKEENのお店に駆け込んでは、そこにある靴全部を眺め回してた。

ハリー: クールだね(笑)。

オロノ: でも、ある時、ついに値段は一番安かったけど、最高にカッコいいKEENの靴を手に入れたんだよ。親父にめちゃくちゃおねだりしたら「しかたねえな、いいよ。誕生日プレゼントな!」って、買ってくれて。あれはまさに夢が叶った瞬間だったな。

ーいい話ですね。そこまで好きなんだったら、SuperorganismとKEENでコラボレーション・モデルとか作ったら、カッコいいこだわりのヤツが出来そうですね。

オロノ: やりたいよね。『WORLD WIDE POP』モデルとかいいんじゃないかな。基本は真っ黒で、そこに色んな色がバーって散らばっているような感じで。

ハリー: 靴の真ん中の部分が、地球みたいなデザインになっててもカッコいいよね。

オロノ: それ、超いいね。……そういうクールな靴を今日は貰って帰りたいです(笑)。

フジロックはワイルドになるのにうってつけ


ーえーと、二人に靴選びを早く楽しんでもらいたいという思いはありつつも、Festival Lifeはフェスのメディアなのでぜひフェス全般に関してもお話聞かせてください。Superorganismは世界中の色んなフェスに出演してますけど、フェスで何か「ワイルドな体験」ってしたことあります?

ハリー: 僕は結構ワイルドな体験してるよ。前回、フジロックに来た時もかなりワイルドだったし、今回も結構ワイルドだね(笑)。フジロックはワイルドになるのにはうってつけの場所なんだよ。

ー具体的には?

ハリー: 例えば、2018年に来たときは、MGMTをステージ袖から観たんだけど。あの日は雨やら風やらが本当に酷くて嵐みたいで、かなりカオスな状況だったんだよね。そんな中で自分達もMGMTもショーをやって、テンションが上がって。かれらと一緒に、朝まで飲み明かしたのは最高だったな。彼らの他にも僕と同郷のニュージーランドのミュージシャンとかも集まってきて、宴会みたいになった(笑)。

ー超楽しそうですね。

ハリー: 今回に関してはBlack Country, New Roadと会って、友達になったり、Jack WhiteやDinosaur Jr.のステージを観れたのは普通に嬉しかったな。J Mascisはギタープレイとか、その他の部分でも、自分にとってのちょっとしたアイドルなんだ。

オロノ: うーん……俺は、そうだな……。前にハリーが話してくれたワイルドなフェス話あったじゃん? イギリスでなんかのフェスにお父さんと一緒に行って、ちょっと言えないようなことしたみたいな。

ハリー: あぁ、その話ね(笑)。

オロノ: そういう話は、俺には無いなって思って。大体、日本でフェス行く時って、親父とか家族がいつも一緒だったんだよね。2008年だか10年だかに、フジロックに行ったときは本当に一日中、FIELD OF HEAVENに篭ってて。親父の観たいバンドが、みんなそのステージに出てたから。俺と母親はそれに付き合わされて、もう完全に飽きてて(笑)。その辺に座り込みながら「マジでつまんないね…」ってぼやいてた。自分のフェスの思い出は大体そんな感じなんだよな。

ー2013年にも、Vampire Weekendとかを観にフジロックに来てたんですよね?

オロノ: あぁ、あれは楽しかった。ワイルドっていうより、普通にいい思い出だけどね。2013年は自分の人生を振り返ってみても、本当にいろんな意味で最高の年だったと思う。Vampire Weekendを観たときにピークに達したって感じ。あのフジロックは、確かに楽しかったね。

チルなヴァイブス、堂々たるパフォーマンス


ーもう少し、今日のステージについて聞かせてください。前回出演した際は、大雨のRED MARQUEEにパンパンに詰まったオーディエンスの前でのパフォーマンスでしたが、今回もSuperorganismには大きな注目が集まっていて。WHITE STAGEに集まった人たちの数もすごかったですけど、ライヴ・ストリーミングされていたこともあり、SNSでも随分話題になってましたね。前回よりも大きなステージ、大勢の観衆の前でプレイした感じはいかがでしたか?

オロノ: 今回は、なぜか……前回のライヴに比べて人が少なく見えたんだよね。多分、ステージが大きくて、観客と距離があったからだと思うんだけど。

ハリー: あぁ、そう?

オロノ: 今回の方が全然オーディエンスの数が多いのは、頭ではわかってたんだけどね。不思議とそんな感じがした。前はもっと人がぎゅっと詰まっていた……ような気がする。多分、今回はコロナもあるし、みんな距離を取ってたんだろうね。だから、緩い感じがしたな、なんとなくね。

ー『WORLD WIDE POP』という作品が持つムードや2ndアルバムであるということも影響していると思うんですけど、今回のライヴはメンバーのみんなが、すごく落ち着いているように見えたのが印象的でした。

ハリー: 前回、フジロックに出演した時よりも、ずっと自信がついたのは確かだね。最初のアルバムをリリースした後、世界中をツアーで廻っている時は「一体全体何が起きてんの?!」って感じだったんだけど(笑)。少しは経験も積んで、ショーに向けて気持ちを整えられるようになって、今は本当に心地よくパフォーマンスや演奏ができるようになった。

オロノ: めっちゃ落ち着いてたな。自分が落ち着いてることに驚いてたような気がする……っていうより「チルでいられるだろ、多分」とは思ってはいたんだけど、本当に冷静でいられた。

ーなるほど。『WORLD WIDE POP』には、1stアルバムを出して以降、世界中をツアーやプロモーションで回る中で感じたフラストレーションや感情の揺れ動きみたいな部分もリリックに描かれていましたけど、やっぱりバンドとしてハードな経験を共有したことが活きてるんですかね。

ハリー: そうかもね。Black Country, New Roadのメンバーが、僕らのステージを観てくれて、さっきちょっとライヴの後に話してたんだけど。かれらが「君たちってステージの上ですごく堂々としてるよね」って感想を言ってくれたんだよね。そんなふうに思ったことなかったんだけど「そう言われてたら、そうかも」って思って。前にフジロックに出た時のことを思い出してみると、ずっとミスしないようにって緊張してたのを覚えてて……。今回は、めちゃくちゃミスしたけど「ロックンロールだろ!」って感じで楽しめたから(笑)。

俺らなりの未熟さの中での、洗練


ー「Something For Your M.I.N.D.」の時にオーディエンスをステージの上にあげるっていうパフォーマンスは前のアルバムのツアーの時からやってましたけど、やっぱりアレは盛り上がりますね(笑)。め組の菅原(達也)さんが「VOTE FOR ORONO」と書かれたオロノのマーチのTシャツ(映画『ナポレオン・ダイナマイト』に出てくるTシャツのパロディ)を着て、ちゃっかりステージにあがってたのにも笑いました。

ハリー: すごく盛り上がったね(笑)。

ー今回のステージに集まったオーディエンスはとにかく最高だったな、と思って。出番前からステージの前に陣取って、夏休みの宿題をやってる子どもから、SuperorganismのTシャツをお揃いで着た老夫婦まで、本当にいろんな人がこのライヴを楽しみにしてたのがわかりました。日本のファンとの久しぶりの再会はいかがでしたか?

オロノ: 今回に限らず、基本的にライヴではオーディエンスの顔がちゃんと見たいんだよね。今日のショーで自分が落ち着いていられたのは、かれらの顔がしっかり見れたからっていうのがあると思う。

ハリー: そうだね。

オロノ: 前のアルバム・サイクルの時はいろんなメディアで「日本のオーディエンスは(反応が)死んでる」って文句ばっかり言ってたんだけど……多分、その時に自分が言ってたことを聞いたり、読んでくれたりした人が今日のライヴにはたくさん来てくれたと思う。みんな、以前よりももっと反応を返してくれたし、ノってくれてたよね。

ハリー: 熱狂的だったよ。

オロノ: 本当にそう。曲ごとに、みんなどんどんぶっ飛んで盛り上がりが増していくような感じだった。

ー『WORLD WIDE POP』の楽曲を実際にオーディエンスの前で演奏してみた感想は? アレンジメントがすごく素晴らしかったですね。音源でも最高でしたけど、ライヴでオーディエンスの前で鳴らされると、化ける曲ばかりだな、と、思いました。

ハリー: ライヴで新曲を演奏するっていうのは、クールな体験だよ。何曲かは本当に初めてプレイしたから、新しい曲を聴いて熱狂する観客をステージの上から見るのは……最高だったね。

オロノ: “Don’t Let the Colony Collapse“が、すごく良かったよね。演奏してても楽しい。あの曲は盛り上がる。

ハリー: そうだね。たくさんの人が同時にジャンプをしてるの見るのいいよね。トリッピーな気持ちになる。

ーメンバーが5人になったこともあって、全員のプレゼンスが発揮されるライヴのモードになりましたよね。オロノはアコースティック・ギターとサックス、ソウルはキーボード、とメンバーがもっと積極的に楽器を弾くようになったし、音楽的にもパフォーマンスにおいても、もっと自由になったんじゃないかな、と。

ハリー: そうかもね。ソウルとビーが、きちんと振付されたダンスを踊るようになったのはこのアルバムからだよね。前も踊ってたけど、もうちょっと自己流な感じだったから(笑)。家具をステージセットとして置くようになったのも初めてだし。あとは……オロノがサックスを吹いたけど、あれはマジでフジロックが初めてだった(笑)。

オロノ: 昨日練習した。高校卒業して以来、初めてぐらいに吹いた。

ーとにもかくにも今のSuperorganismは「洗練されたな」って思いましたよ。MCでも言ってましたけど、来年、日本にツアーで帰ってくる時にはどんなショーを見せてくれるのか今からすごく楽しみです。

ハリー: そうだね、僕らも楽しみにしてる。っていうか、でも「洗練」って言葉のチョイスは面白いね。僕らは前と同じように、まだまだ未熟だと思うけど……(笑)。

オロノ: 俺らなりの未熟さの中で、洗練されている(笑)。

ハリー: あぁ、そうかも(笑)。

インタビュー終了後、『KEEN』のスタッフがコンシェルジュとなり、さまざまなフットウェアを試しながら、1時間ほどかけて、シュー・ショッピングを楽しんだ二人。最終的に自分のお気に入りのシューズを見つけることができたようで、大満足の後、たくさんのお土産を手に楽屋へと帰っていった。

Interview/Text:小田部仁
Photo:烏頭尾拓磨

SUPERORGANISM WORLD WIDE POP TOUR

ツアー日程

2023年
1月13日(金)Zepp DiverCity(TOKYO)
1月15日(日)大阪 なんばHatch
1月16日(月)名古屋 DIAMOND HALL
1月17日(火)HIROSHIMA CLUB QUATTRO
1月18日(水)福岡 DRUM LOGOS

チケット

東京公演:前売 7,000円(1Fスタンディング/2F立ち見) / 7,500円(2F指定席)※ドリンク代別
大阪公演:前売 7,000円(1Fスタンディング) / 7,500円(2F指定席)※ドリンク代別
名古屋、広島、福岡公演:前売 7,000円(スタンディング)※ドリンク代別
最速プレオーダー先行予約:8月30日(火)12:00~9月4日(日)23:59
一般発売:9月10日(土)10:00~
公演詳細

リリース情報

SUPERORGANISM 『World Wide Pop』
RELEASE: 2022.07.15
LABELS: Domino
公式サイト

KEEN × フジロックʼ22 コラボレーションモデル

KEENのマスターピースであるつま先を守る水陸両用サンダル『NEWPORT RETRO(ニューポート レトロ)』をベースにしたフジロック’22 × KEENコラボレーションのコンセプトは、ずばり、フジロック会場。今年は晴天に恵まれたが、ご存じの通り、例年は嵐のような豪雨も多いフジロック。豪雨の泥からインスパイアされたオリーブのベースカラーにメインステージGREEN STAGEの緑、Superorganismが2018年にパフォーマンスしたRED MARQUEEの赤、そして今年パフォーマンスを繰り広げたWHITE STAGEの白と、主要ステージをドットカラーで表現。
KEEN × フジロックʼ22 コラボレーションモデル
KEEN公式オンラインストア

KEEN公式YouTubeチャンネル

YouTubeで音楽コンテンツも配信しているKEEN。今年のフジロックをはじめ、フェスシーンで活躍するアーティストが多数出演&アーカイブも。
KEEN公式YouTubeチャンネル

全国フェス検索