FM802のDJ竹内琢也が音楽業界の気になる人にインタビューする「BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY × Festival Life」。今回は、8月にビルボード大阪で2マンライブを行った向井太一とDATSにインタビュー。お互い印象から、2組のプライベートでのSNSの使い方まで、楽屋インタビューならではの貴重なエピソード満載でお届けします。(interview 2017.8.15)
Festival Life × FM802 BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY
vol.09 | 向井太一 × DATS interview by 竹内琢也
今回は、コラボインタビューという形でお願いさせてもらいました。まずは、お互いの最初の印象を教えて下さい。
DATS杉本(以下 杉本):僕は去年yahyelとして楽曲コラボレーションで、向井くんの作品に参加したんですけど、「まず、太一くんの曲を聴いてみよう」と思って、SoundCloudを開いたんです。そしたら、ダンスミュージックと日本のポップスのミックスが、いい具合にされていて、すごく意図を感じたんです。
意図というのは?
杉本:クラブシーンにも、J-POPシーンにも、ライブハウスシーンにも、どこにでも行って架け橋になりたいのかなということを感じて、そこはDATSのコンセプトにもある部分なので、すごく親和性を感じました。あとは、Flumeっていうオーストラリアのアーティストがいるんですけど、その人のリミックスをSoundCloudでRepostしていて、「あ、聞いている音楽も、もしかしたら近いのかもしれない」と思ったのが、最初の印象でした。
DATS伊原(以下、伊原):yahyel 経由で向井くんを知ったんですけど、よく話題に出るので、音源を聴くと「むっちゃかっこええやん!」ってなって。スタイリッシュでありながら、熱量もあって、最初は「大きいのかな?」って思ったんですよ。でも、そうじゃなくて、パワーが圧縮されているんだって思って(笑)。
向井太一(以下、向井):この小さいカラダにね(笑)。
DATS大井(以下、大井):日本のR&Bだと思って、向井くんの音楽を聴いているんですけど、あの歌唱力とトラックのかっこよさでやれているR&Bミュージシャンは、向井くんしかいないと思います。
DATS早川(以下、早川):カズくん(大井)と一緒なんですけど、声が好きです。伸びやかで、かっこよくて、それがトラックと重なって、めちゃめちゃカッコいいなって思います。お酒が進みますよね。
一緒に遊んだりするんですか?
向井:クラブで遊んだりとかは普通にありますけど、DATSとの繋がりはここ最近なので。yahyelチームとのつながりは前からありますけど、(伊原)卓哉くんと早川くんは最近ですよね。でも、本当にこんな感じなんでみんなリラックスモードなので、すごくラフでやりやすいです。
逆に向井さんから、DATSの印象を教えてください。
向井:DATSはジャンルをミックスするのが上手いバンドだなって思っていたんですけど、前はもっとロックの配分が多いイメージがあって、でも最新アルバム『Application』を聴いて、すごく僕にも馴染みがあるというか、よりハマったんです。僕はどちらかというと、歌モノとして音楽を聴くことが多かったので、SOULとかR&Bがベースの音楽がどうしても多かったんですけど、どっちかと言うとDATSはオルタナティブロックというか、ロックベースなメロディが多いので、僕の中ではちょっと新鮮なんです。
DATSは明らかにサウンドの雰囲気が変わりましたよね?
DATS一同:そうですね。
それはどういう意図だったのですか?心境の変化とかがあったんですか?
杉本:バンドとして音楽性を変えたというよりは、アルバム単位での表現作品として、“今回はこの音”みたいな感じでやっています。
今回のアルバムは「この音でいこう」みたいな感じってことですね?
杉本:そうですね。ある程度は、これからのDATSはこんな感じっていう1つの指針というか、名刺代わりの作品でもあると思います。
向井さんはどうですか?
向井:僕は結構、アルバムをバイヴスで作ってしまうところがあるので、「これ作りたい!作っちゃおう!」みたいな。もちろんアルバムのコンセプトとか、作品としてパッケージにするときに決めるんですけど、曲づくりをしているときは、そのとき作りたいものをどんどん昇華していってる感じです。“コンセプトありきでサウンドを作り上げていく”っていうのは僕にはない発想ですね。
アナログとデジタル、両方を経験している世代
CDも聴くし、レコードも聴くし、データでストリーミングも使う世代だと思うんですけど、音楽の聴き・探し方について教えてください。
向井:僕は、サブスクリプションが発達したっていうのもあるんですけど、SpotifyやAppleMusicがどうしても多くなってます。でも、元々はYouTubeをずっと探っていたり、関連動画からどんどん繋がっていったり。音楽はもちろんですけど、例えばミュージックビデオとか、僕は視覚的なアプローチが強いアーティストが好きなので、YouTubeで音楽を探すことは多いです。
DATSの皆さんはどうですか?。
伊原:僕は、いろんなアーティストの新譜を聴くときはAppleMusicで「NEW RELEASE」みたいな枠があるんですけど、そこで片っ端から、普段は聴かないジャンルも聴いたりとかしていて。エレクトロっていうところでは、SoundCloudも量が多くて、無名な人のリミックスなんかもチェックします。
大井:僕たち4人はみんな同じような聴き方していると思うんですけど、僕はレコード屋も行きます。古い音楽を掘るときには、やっぱりレコードジャケットを手に取って、そのジャケットのパンチとかで選ぶことも大事だと思っているので。やっぱり現物を仕入れるためには、あえて中古レコード屋さんに行って、埃かぶったレコードを選ぶという楽しみもあると思います。
向井さんもDATSのメンバーも、状況に応じてアナログ的な聴き方もするし、デジタル的な聴き方もするし、どっちをどうってことでもないですよね?
大井:やっぱりそうですね。どっちもOKみたいな!
このBEAT EXPOでは、アーティストのみなさんに海外アーティストの楽曲を「洋楽入魂リクエスト」として選曲してもらっています。最近よく聴いている曲を教えて頂いているんですが。夜7時〜9時にラジオから流れて欲しい曲を1曲ずつ教えてください。
向井:流し聴きもするし、集中して聴くときもあるっていうのは、SZAの新譜「Ctrl」ですかね。SZAの新譜がすごく好きで、その中でも「Drew Barrymore」って曲が、まずタイトルで「なんじゃこりゃ!」ってなって、聴くとやっぱりめっちゃかっこよくて。昔からSZAは好きだったんですけど、今回よりメロディの強さが良いし、いい意味でポップス化されていて、そこが自分のやりたいこととも繋がっているし、昔のR&Bが好きな人にも、新しい音楽が好きな人にも、どっちにも馴染むアルバムだと思うんです。
DATSのメンバーは4人で1曲ですが、何をセレクトしてくださいますか?
DATS一同:うーん、(口を揃えて)Sylvan Essoでしょ!
杉本:RADIO!
BEAT EXPOではこの曲を番組内ヘビーローテーションでかけていました。選曲理由も教えてください。
伊原:AppleMusicで適当に曲を調べているときに、「ん?かっこよくね?」ってなって。
大井:結構古くさいアナログシンセを使っているよね。
杉本:トラックとしては新しい作りなんですけど、音は多分全部アナログシンセサイザーを使っていて、ちょっとヘンテコな音も鳴ったりしていて、エレクトロだし、エモでもあると思う。
伊原:しかも、アルバムを通して聴くと、全部が全部エレクトロじゃないじゃん。ちょっとアコースティックな部分もあるし、そういう意味でハイブリットな音で、「どっちもできるよ!」「どっちの表現の仕方もあるんだよ!」って部分が、DATSとの親和性もあるのかなって感じています。