GREENROOM FESTIVAL イベントディレクター 杉下正樹
―杉下さんには制作のより深いお話を伺えたらと思います。まず、どのような経緯でGREENROOMスタッフになったのか、今どんなことを担当されているのか教えてください。
僕は茅ヶ崎出身なんですけど、そこでビーチパーティの制作に携わっていて。そのあと広告代理店の下でファッションショーや展示会など、しっかりスーツを着るようなイベント制作を5〜6年やって、GREENROOMを見つけて入社しました。2012年のことです。今は釜萢さんの下についてイベントの統括的なことをやらせてもらってます。プロモーションから、ブッキング、会場とのやり取り、協賛周りのやり取り、当日の運営まで、全般的に関わっていろんな窓口になってますね。
―なるほど。早速今年のラインナップに触れていきますが、今年の目玉はやはり海外勢2組、Sublime with Romeとジミー・クリフになるんでしょうか?
そうですねえ。個人的にはSublimeですかね。青春の音楽なので。
―国内勢は、King Gnu、KANDYTOWN、小袋成彬、WONK、HYUKOHなどの新風も入ってきますね。
やっぱり若手勢とベテラン勢のミックスで構成していくのは意識してますね。今のお客さんで一番多いのは30代なんですけど若い層も取り入れていきたいし、新しい良いアーティストは常にアンテナを張って聴いていくようにしてます。若手のアーティスト側もGREENROOMに出たことによって1つ成長してもらえたらいいなと。
―GREENROOMのブッキングはどう進められているんでしょうか?
基本的には釜萢さんとブッキング担当者が考えて交渉しつつ、ありがたいことに「出たいです」と言ってくれるアーティストがいっぱいいるので、そのライブを見たりして決めていきます。
―そういうとき、GREENROOMのコンセプトとの整合性みたいなことは考えますか? 今年はASIAN KUNG-FU GENERATIONやサンボマスターといったロックバンドも初めて出るので気になりまして。
一応サーフカルチャーのフェスなのでサーフミュージックと思われがちなんですけど、音楽のジャンルも広がってるので、僕ら主催側もどんどん間口を広げていきたいなっていうことでいろんなアーティストを入れてます。知名度の高いアーティストに出てもらえるようになったのはうれしいことですね。
動員の伸びとストレスのバランス
-昨年、無料エリアに新ステージRED BRICKができたのはけっこうな改革だと思いました。チケットを買わずともNulbarich、never young beach、平井大、YOUR SONG IS GOODが見れてしまうっていう。
無料であれだけ楽しめるのはGREENROOMの良いところだと思うので、今年もやりますし今後も続けると思います。ただ去年、その4組が出た2日目はかなり混雑してたので、運営方法とかは考えつつ。
―実際、動員は14年間伸び続けてる状態ですか?
はい、おかげさまで。
―今後も伸ばしていく拡大方向?
そうですね。赤レンガ倉庫に一番人が来たイベントは、これまで横浜市の花火大会だったんですけど、2017年のGREENROOMでそれを越えたというふうに言われたんですね。横浜市を代表するイベントでありたいし、市もいろいろ開発をやってるのでもっと広げていきたいなと思ってます。
―ただ、人を入れすぎると「ゆったり楽しめるフェス」というGREENROOMのカラーが損なわれる危険性もあるのでは。
そこのバランスは非常に難しくて。昔はスカスカだったんですよ(笑)。どうやってお客さんをいるように見せるか考えてたくらい。それが10周年(2015年)あたりからソールドアウトして、逆にどうしたらお客さんにストレスを溜めさせないか気を遣うようになって。なので横浜市と話して新しいエリアも見つけて広げて、居心地のいいフェスにするため模索してるんですけどね。
おしゃれして来れるのが都市型フェスの良いところ
―杉下さんは「GREENROOM FESTIVAL」の魅力はどこにあると思いますか?
カルチャーフェスっていうところですね。音楽だけじゃなく、アートがあってフィルムがあって、地元横浜とか湘南のフードや物販が出て……こんなに盛りだくさんなフェスってないんじゃないかな。音楽だけを楽しみに来るフェスとは大きく違うし、大事にしていきたい部分です。
―来場者がリアルクローズだからでしょうか、他のフェスには全然出ないブランドが出店しているのもよく見ます。
来てる方、ホントに皆さんおしゃれですよね。おしゃれして来れるのが都市型フェスの良いところだし、うちの強みです。企業に関しても、全50社くらい来ていただくんですけどこんなに協賛がつくイベントもないと思います。アートコンテナっていうコンテナを並べた出店ブースも、今年は過去最多になりそうです。実はアートコンテナというだけあって「アート要素を入れてください」っていう要望と審査を設けてるんです。協賛社さん1つひとつもGREENROOMのコンテンツの1つなので、クリエイティブの統一はしています。
―スタッフとして、これまでで一番苦労したことと一番うれしかったことはなんですか?
苦労したのは、僕の入社が2012年4月だったので、開催1カ月前にぶちこまれて右も左もわからない状態でやった時ですね。当日関わってるスタッフはトータル2500人くらいで、コアスタッフだけでも何百人といるので顔と名前と担当を覚えるだけでも大変で。4徹したことも(笑)。
―スタッフ総勢2500人とは、やっぱりすごい数ですね。
フェスの裏側で働くスタッフって割と似ていたりするんですけど、GREENROOMに関わってる人はみんなGREENROOMのことが大好きだなって伝わってくるんですよ。僕ももちろんその1人なんですけど。限定数のスタッフTシャツもけっこう取り合いで。
―そうなんですね!
うれしいのは、やっぱりお客さんが喜んでる姿かな。ステージ前方で泣いてるファンの方とかを見ると、1年かけて作ってきてよかったなと思います。あとは、2日間終えてずっとやってきた釜萢さんと「おつかれ!」って握手をするとき。一番報われるうれしい瞬間ですね。
Text:鳴田麻未
Photo:江藤勇也
GREENROOM FESTIVAL’18
日程:2018年 5/26(土) – 5/27(日)
場所:神奈川 横浜・赤レンガ地区野外特設会場
公式サイト
GREENROOM FESTIVAL | Festival Life 特設