-藤井さんはブログなどでもフェスを主催することに対して、いろんなメッセージを発信していますが、やはり続ける難しさってありますか?
続ける難しさは年々めちゃくちゃ感じてます。スタッフも家族を持っていたりしますし、「hoshioto」に向けて3ヶ月前から会場の清掃とか準備で毎週日曜日に集まったり。スタッフに対して、なんか申し訳ないなと思うことが多々あったりします。それでもみんなでやろうって続けてくれるのはすごくありがたいことだと思うし、だからこそ「hoshioto」は永遠には続けれないものだと思うから一年一年をすごく大切にやってます。
続けられる理由を最初は「好きだから」っていう言葉で全て片付けていましたが、最近はもっと違う意味として、「続けた先に何があるのか」を見てみたいとも思ってます。続けることが目標になっちゃうと、それこそマンネリ化してしまうし、まだまだ頭の中ではやりたいことが沢山あります。でも、今年で終わるかもしれませんけどね(笑)
-「hoshioto」以外にも運営しているフェスもありますよね。
「hoshioto」以外だと、岡山市内で「machioto」と、広島県福山市で「JOKAFES~福山城下音楽祭~」というサーキットイベントを2つやってます。「JOKAFES」は大阪で「見放題」というサーキットをやっている民やんさんと福山にあるライブハウス福山Cableの店長、出原さんと3人で運営しています。
-岡山県ではないフェスも手がけられているんですね。
福山市って隣の広島県なのですが、僕が住んでいる岡山県井原市の隣町なので、岡山や倉敷よりも近くて子供の頃から慣れ親しんだ場所なんです。民やんさんは大阪の「見放題」以外にも、「TOKYO CALLING」や「ハルバン-HIROSHIMA MUSIC STADIUM-」とかもやっているサーキットフェス請負人みたいな人で、親の地元が福山市なんです。それで、福山Cableの出原さんと3人で「福山で何かしたいね」という話をしてて、2014年から「JOKAFES」を共同代表でやってます。
-岡山市内の「machioto」はどうですか?
「machioto」に関しては、「hoshioto」のスピンオフのイベントで1つのライブハウスでやっていたのですが、色々なバンドと知り合うようになって、もっと岡山に来てもらいたいという想いから2016年からサーキットイベントになりました。岡山ってライブハウスは沢山あるんですが、それぞれが離れていてサーキットフェスなんて出来ないだろうって思われていたんです。でも全国的にサーキットイベントが増えている時代で岡山でも誰かやらないかなって思ってたんですが、誰もやらなかったんで僕がやりました(笑)。
-2つのイベントに共通していることってありますか?
この2つのイベント共に地元の若手アーティストをフックアップしたイベントにしたいと思ってます。さらに、県外でも話題性のあるアーティストを呼んでとにかく街に刺激を与えたいですね。岡山市と福山市っていわゆる地方都市なのでアーティスト的にもなかなか行く機会がない場所だったりするので、喜ばれるし、地元の音楽好きな人にも発信できるんです。
-藤井さんはたくさんのフェスを運営されていますが、これからフェスを主催したいという人に何か伝えたいことやアドバイスってありますか?
フェスティバルを主催したいと思ったら、一番最初にやってもらいたいことは、めちゃくちゃ想像や妄想をしてもらいたいです。できる・できないは別として「あの場所であのアーティストが出るフェスティバルを作りたい」ってところからで良いと思うんです。妄想とかしていくうちに思い描いているものを書き出してみると絶対に楽しくなります。ステージは何個にするとか、開場までのアクセスはどうするとか。
-とにかく理想を妄想する、と。
そうですね。僕はそういうものを書き出してそこからインターネットで調べまくりました。結構ネットで調べれば分かることが多いんですよ。「フェス」「インディペンデント」とかで検索すると、そういった体験談などもすぐに出てきて、もの凄く参考にさせてもらったり。「フェスティバルをやりたい!」って思ったらその想いを貫けば絶対に出来ます。その変わり見返りとかは絶対に求めないこと、鉄のハートで貫くこと。とにかく信念をしっかり持っていればうまくいくはずです。
-最近はフェス主催者同士もつながりも多いとお聞きしました。
一昨年に全国のローカルフェス主催者の方が北海道に集まって、フェス観測会という研究会が実施されました。そこに参加させてもらって、自分と同じように手作りでフェスティバルを作り上げている人たちに沢山会って凄く刺激をもらいました。その流れも少しあって、最近では関西のローカルフェスの方々と飲み会や勉強会をしてますね。それこそ、その繋がりから「hoshioto」で「ONE MUSIC CAMP」にドラム缶風呂をやってもらったり、「ITAMI GREENJAM」に装飾をしてもらったり、「FAT CAMP」にはキャンプよろずやをやってもらってます。他にも色々とここでは言えないような情報交換を沢山やってます(笑)。
-さきほど上がったようなローカルフェスもたくさんなると思いますが、今後ローカルも含めたフェスシーンはどうなっていくと思いますか?
いわゆるローカルフェスが毎年増え続けているんですが、今後どうなっていくんでしょうね。一種の祭りとして地域に根付くものもあれば一過性で数年行って終わるものもあると思いますし、ローカルフェスが巨大化してビッグフェスになる可能性もあります。フェスバブルと言われ続けている時代で「いつかそのバブルも弾けるんでは?」というような声も聞きますが、僕は逆にもっと増えていくんじゃないかなと思います。
フェスに参加したことがきっかけでフェスを主催したいという人も最近たまに出会います。
そうですよね。僕らのような主催者も元々はお客さんだった人が多いですしね。お客さんだった人がアーティストを呼んで「フェスティバルをやってみたい!」と思ってそこで行動に移す人はもっと増えてくるんじゃないかな。アーティストとしても沢山の人に見てもらいたいという思いもあるので、そこが合致すれば可能性はもっと広がっていくと思います。今でも似通ったフェスティバルが増えているんですが、それぞれのフェスティバルのカラーをちゃんと持たないと淘汰されていくので、結局残ったフェスティバルって「独創性がある面白いフェスティバル」になると思いまし、それって凄く楽しみですね。
-そんな藤井さんが、お客さん目線で今年楽しみにしているフェス、期待しているフェスってありますか?
お客さん目線だとやはりフジロックは毎年楽しみですね。そして今年楽しみにしているのは「ITAMI GREENJAM」と「ONE MUSIC CAMP」ですね。岡山の隣の兵庫県で開催されるフェスなんですが、「ITAMI GREENJAM」は去年初めて行って、無料フェスティバルの凄さを見せつけられましたね。良いとことも悪いところも含めて挑戦するのは横から見ていて面白かったです。そして今回僕のインタビューを指名してくれた「ONE MUSIC CAMP」はライバルというのはおこがましいですが、本当に参考にさせてもらってリスペクトしているフェスティバルです。
-最後にたくさんのフェスに見て、自分で作って、今でもたくさんのフェスに参加しているからこそ、思うフェスの魅力は?
フェスティバルは色々な可能性を持っているという魅力が一番かな。新しい出会いや発見、そして自分に刺激を与えてくれて成長させてくれるものだと思います。もちろんそれは人それぞれですけど、僕は「hoshioto」で来場された方に何らかの刺激を受けて帰ってもらいたいと思ってます。あ、あと最後に、僕も次のフェスティバル主催者指名してもいいですか?
-もちろん、お願いします。
対馬でやっている「TSUSHIMA BORDER ISLAND FES」を開催している小宮くんです。彼は昔に「ロックの夜明け」という面白いイベントをやっていて、今は、出身地である対馬で日本と韓国の橋渡し的な変わったフェスティバルをやっているんで、ぜひともインタビューしてもらいたいです!彼とも北海道で知り合いましたが、連絡は取り合ってていつか一緒に何かをしたいと思ってます!
「hoshioto’17」ダイジェストムービー
hoshioto’18
日程:2018年 5/26(土)
場所:岡山 井原市青野町葡萄浪漫館 特設ステージ
公式サイト