クラウドファンディングあり?なし?
大原: 日頃から松原さんの話を聞いていると、例えば協賛の企業の話とかで、「COMING KOBEのカラーと合わないでですかね?」みたいな話しても、「全然こだわりないよ」みたいな。
松原: ああ、協賛企業のことね。
大原: もちろん芯の部分で「COMING KOBE」をやる上で重要にしてることはあるんだろうけど、比較的考え方が柔軟だなと思っていて。その中で、今までに1回だけクラウドファンディングをしていたじゃないですか。同じ無料フェスとして、僕もよくクラウドファンディングやればいいのにと言われるんですけど、僕の中では、地域文化に落とし込むという点から言うと、クラウドファンディングありきで成立するイベントっていうのはどうなんだろうって思っていて。
松原: うん。
大原: もちろん、イベント内でこういうことをするからクラウドファンディングをするというのはありなんですけど、イベントそのものをクラウドファンディングにかけてしまうというのは、毎年それありきで開催の有無が決まるわけだから、地域文化に落とし込むイベントとしてイメージできないんです。「COMING KOBE」は、一昨年クラウドファンディングをして、その後はしなかったじゃないですか。これって何かあったんですか?
松原: 単純に、クラウドファンディングが俺の性格に合わなかったのが一番の理由。例えば、居酒屋に行って、頼んだビールが全然出てこなくてイライラして、店員さんに「まだですか」って言ってたときに、「私、クラウドファンディング協賛したんです」って言われたら、その瞬間に怒ってた俺は「あぁ!すみません!!」ってなる訳やん。こんなことがめちゃめちゃあって。街歩いてても、めんどくさいなと思うことがいっぱいあって。だから俺は、スポンサーしてくれた人が誰かわからないっていうのが嫌でやめた。
大原: もちろん、ありがたいってのは前提で。
松原: もちろん。感謝しかないからしんどい。だから、もうたくさんに感謝をばらまくのがしんどくて。あの年は、すごいしんどかったな。1万円寄付したりとか、男気でやってくれてるから、わざわざみんな言ってこないからしんどい。大原もしてくれてるかもしれないやん。
大原: したしたした!
松原: だからこういうのや!(笑)
大原: ははは(笑)
松原: 俺今こんな偉そうに話してたけど、「してくれたん!ごめん、ありがとう〜!」ってなるやろ。それがしんどいなと思って。だからクラウドファンディングやめた。でも、そうじゃないんやったら、やったらいいと思うけどな。300万集めます、達成しなかったら開催しませんっていうのではなくて。
大原: 僕の中では、松原さんが言ってる話もあるんですよ。口座を公開してるので、誰か分からないけど男気スタイルで振り込んでくれたときとか、めっちゃしんどくなるんですよ。
松原: しんどくなるなぁ。それが俺は嫌やったからやめた。それがない人は、やったらいいと思うよ。
大原: うーん…。
松原: でも、そんなこと考えなくていいんやろけどな。そんなこと分かってるんだけど。でも、人間ってどこかに見返りが必要なわけやんか。やっぱりお礼言われて嫌な人はいないんだからお礼言いたいなと。だから俺は、エキスプレスTシャツにしてん。早く入れるという特典と、Tシャツという商品があるわけやから、もちろん買ってもらってありがとうございますだけど、そんなにへりくだらなくても、ある程度お互い良い関係でおれるかなと。
大原: なるほど。考えたことはあるんですよ。でも区切りがないんで。
松原: 例えば、特別休憩エリアがあったりだとか、クーラーで涼める場所があったりとか。病院にも寄付したらVIPルームがあったり、空港にもゴールドカードを持ってる人が入れるラウンジがあったり。ああいうのでええんちゃう?
大原: クラウドファンディングというやり方は強制感があるから嫌なんかなと思ったこともあったんですよ。
松原: いやいや、別に強制感はないよ。「COMING KOBE」だったら、最善の真ん中にエリア作ったらええやん。そしたら、やっぱりみんな見やすいよ。
大原: なるほどなぁ。
大原: 最後の質問になりますが、松原さんが病気になったじゃないですか。
松原: うん。
大原: 今までワンマンでやってたとことが、スタッフ総動員って感じに体制が変わって。でも、たぶん松原さんって自分でやりたいし、チェックしたいタイプだと思うんですけど、そのへんの欲求はどうなってます?
松原: 言い方が難しいけど、諦めに近いぐらいの、ここは任せようっていうので、割り切ったりしてるかな。
大原: 僕もワンマンでやってたので、なるべく振り分けたいなと思ってて。でも気になるから、結局自分でやっちゃったりとか。
松原: このイベントが、俺が死んでも続くってことを考えると、もうやってもらうしかないもんな。だからもう、自分は死んでるていぐらいの気持ちでやるしかないからね。
大原: なるほど。
松原: でも今年は、なんでそうなんねん!みたいなことはほとんどなかった。この2年で、考え方とかはすごい伝わったなと思う。
大原: では最後の最後に。今年の「ITAMI GREENJAM」って来れるんですか?
松原: 行ける!
大原: 来てもらって何かひとつ褒めてください。
松原: ワードかなんかでまとめて提出したらええ?
大原: 重いな。もう少し軽いのがいいなあ(笑)。
松原: イベント名ええやんみたいな?
大原: 軽いなあ(笑)。では最後に告知になりますが、今年の「ITAMI GREENJAM」は過去最高に地元との連携や協力体制も強固になりましたし、過去最高に豪華な出演ラインナップになりました。グリーンジャムは本当に民間のみの市民手作りイベントなのでグリーンジャムの魅力=伊丹の魅力です。ぜひ会場に足を運んで頂き、最高の2日間を過ごして頂くことを通して皆さんそれぞれが何か持って帰って貰えたら嬉しいです。9月1日、2日はぜひ伊丹市昆陽池公園へお越しください!
Photo: shouji miyamae