2022年10月15日(土)・16日(日)にあづま総合運動公園にて初開催となる「LIVE AZUMA」は、福島テレビ、福島県出身者で結成されたクリエイティブチームのフライング・ベコ、「サマーソニック」を手掛けるクリエイティブマンプロダクションの3社が主催する新しい音楽フェス。東京2020オリンピックの会場に使用されたスタジアム「福島あづま球場」が音楽ライブの特設ステージとなり、その周辺では、東北のグルメや厳選したフェス飯が並び、マーケットやアートも楽しめる。この飲食やマーケットエリアは無料で一般開放されるのも本フェスの特徴だ。
実は「LIVE AZUMA」は、オリンピックにあわせる形で2020年の開催を予定していたが、他の音楽フェス同様、コロナ禍の影響で延期になり、2021年も「LIVE AZUMA」としては開催できなかった。その代わりに同じチーム、同じ場所にて、無料フェス「PARK LIFE」として開催され、その成功が今年の開催に繋がっているという。そんな初開催フェスの仕掛け人でもある3名に集まってもらい、十数年前に遡る開催のきっかけから、これから「LIVE AZUMA」が目指すフェス像を語ってもらった。
LIVE AZUMA開催のきっかけは十数年前!?
-まずは主催者の3人に集まっていただきましたが、それぞれの役割や関係を教えてください。
坂口和義(以下、坂口):LIVE AZUMAは、福島テレビとフライング・ベコ、そしてクリエイティブマンの3社でこのフェスを作っています。クリエイティブマンとしては、ブッキングの一部、ステージの制作まわり、フェス全体のサポートやコメントをするような立場です。ただ僕らは東京ベースなので、基本的にはお邪魔にならないように、福島出身でもある二人(二社)が主導しているという感じですね。
佐藤将一(以下、将一):福島テレビとしては、そもそもの企画であったり、福島県内の調整事項、広報…、基本的には何でもやります。
佐藤亮太(以下、亮太):僕は福島出身なのですが、福島フェスというイベントを東京で開催していたり、ほかにもいろんなイベントやフェスに関わっていたこともあり、今回無料で展開するマーケットエリアのプロデュースやアーティストのブッキング、フェス全体のクリエイティブまわりを担当しています。
-もともと将一さんは、クリエイティブマンと関係があったとか?
将一:そうなんです。十数年ほど前ですが、学生時代にサマーソニックのインフォメーションブースのお手伝いをしていました。というのも、サマソニをお手伝いする学生団体に所属していて、夏はサマソニのスタッフとして働くというのが学生時代の夏の恒例行事でした。
坂口:実は僕もその学生団体出身だったんですが、その当時はすでにクリエイティブマンにいて、色々と学生スタッフにサマソニのブースをサポートしてもらう立場だったんです。その頃から「いつかフェス作ってみたい」というようなことを将一くん言ってたよね?
将一:当時は学生だったので、「絶対フェスを作りたい!」ということではなかったと思うんですが、無謀にもそんなことを言ってたような気がします(笑)。
-それからテレビ局で働くことになって、フェスを仕事に?
将一:新卒で福島テレビに就職して、地元に戻ったのですが、すぐにフェスという話ではなく、いろんな仕事をさせてもらう中で、やっぱり福島で面白いことがしたいという思いが強くなってきて。
坂口:たまに会ったりしたときに、音楽や仕事の話を普通にしていたのですが、数年程前に「本当にフェス作りませんか?」と相談されて、「色々整えられれば何か手伝うよ」と。
亮太:僕と将一くんの関係は、僕が主催していた福島フェスのイベントを手伝ってくれて、そこからだよね?
将一:そうですね。福島をテーマにした面白いイベントだったので、手伝わせてほしいという感じで。
-それは仕事として?
将一:いえ、普通にプライベートというか、ボランティアスタッフみたいな形ですね。もうすでに福島テレビで働いていたのですが、ちょうど東京支社で営業をやってるときでした。そこで亮太さんを人伝てに紹介してもらって、「何か福島でもやれないですかね?やりたいですね」みたいな話を亮太さんとさせてもらうようになって。
亮太:ぼんやりとしながらも「ほんとにやりたいね、やるならどこでやろう?」みたいな話をしはじめてという流れかな。
将一:福島に戻って面白いことをやりたいみたいな漠然としたイメージはあったんですが、お二人と話をしていく中で具体的になっていって、福島でフェスをやれるんじゃないかということでスタートしました。
坂口:最初に将一くんがフェスをやりたいって言ってからだと、約十数年越しのフェス実現なんです(笑)。
3年以上の準備を経ての開催
-かなり準備期間があったと聞きました。
亮太:フェスの準備は3年前くらいにスタートしていて、実は2020年に開催できたらと思っていたんです。会場のあづま総合運動公園はオリンピックの野球とソフトボールの試合会場だったので、8月にオリンピック、10月にフェスという流れを考えていました。でもそのタイミングでコロナ禍に入ってしまって。
-2021年はこのチームでPARK LIFEというフェスを開催しました。
亮太:去年の状況だと、もともと想定していたLIVE AZUMAのような規模感は難しい。そうであれば福島県内の方を対象にした無料イベントをやってみようということでPARK LIFEと銘打って、無料のフェスを行いました。
将一:何かできることはないかとは考えつつも、去年は福島でフェスを開催することに対して様々な意見があったので、状況を踏まえて小規模な形での開催にしました。ただもともと決まっていたLIVE AZUMAという名前はとっておこうと。
-そもそもLIVE AZUMAの名前の由来は?
将一:福島に吾妻山(通称)という山があるんですが、このあたりの地域を「あづま」と呼ぶんです。地域特有の呼び方ですが、地元の人であれば「あのあたりの場所」だというのが分かります。
坂口:「あづま」はその地域の人が分かる場所であり、キーワードでもある。地元に貢献したり、還元できるフェスでありたいという想いも込めてもらっています。「福島のイベント=復興」というイメージがあるかもしれませんが、復興という気持ちは勿論大事にしつつも、何かやることで福島にとって少しでも地元の方々のプラスになれたらと思っています。
-昨年PARK LIFEとして実施した感想はいかがでしたか?
亮太:現実的なところでいうと、今年のLIVE AZUMAの開催にあたって、その前に今年に続いていくフェスをやれてよかった。やはり何もイメージがないところでいきなり大きいイベントが立ち上がるのではなく、「今年もやるんだね」と周辺の人に認識してもらってるのはかなり大きいですね。
将一:あづま総合運動公園は、イメージとしてはスポーツ用の公園で野球やサッカーの試合といったイメージが大きい場所です。イベントとしては、今回とは少し違う場所にはなるのですが、マルシェが開催されていたりというような感じでした。体育館も併設されていてアーティストさんのライブも開催されてはいましたが、公園全体を使った音楽フェスはこれまでなかったのですが、会場側も受け入れてくれて。
-やはり福島テレビや福島フェスの影響が大きかった?
亮太:もちろんそれもあると思いますが、フェスをやると決めてリサーチをする中で、地元の人とも「こういうイベントをやりたい」と意見交換していたときに、この場所が良いという声がかなり多かったんです。
将一:なぜ今までなかったんだろうと思うくらいに、アクセスや環境面もフェスに適していると感じます。
坂口:この会場にはフェスとしてのポテンシャルの高さを感じています。スタジアムがあって、駅からのアクセスもいいし、しっかり手入れされていてインフラも揃っている。新幹線が通っている福島駅周辺には宿泊施設なども充実しているし、会場から遠くないエリアには歴史的な温泉街もある。地元の人にとってネームバリューもある場所なので安心感もあるかと思います。
将一:地元の人にとっては、スポーツ観戦や散歩など、慣れ親しんだ場所だと思うので、ふらっと訪れて無料エリアを散策してもらうだけでも面白いかなと。もちろんチケットを買ってライブも見てほしいですが(笑)。
坂口:あと去年開催してみて思ったのは、10月のこの時期は寒すぎず、秋を感じて快適に過ごせます。公園の夜のライティングや演出も工夫して、フェスとしてもスペシャルな空間を演出できるし気に入っています。
亮太:ちなみに今年からはLIVE AZUMA名義での開催になりますが、無料エリアのマーケットはPARK LIFEという名前で開催するので、そういう意味でも去年の開催は今年につながっていますね。