FM802 DJ竹内琢也が気になるあの人にインタビュー vol.02 | 角張渉(カクバリズム)

フェスな人にも登場してくれたFM802のDJ竹内琢也が音楽業界の気になる人にインタビューをする「BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY」の内容をFestival Lifeで紹介していく新シリーズがスタート!先日のFLAKE RECORDSのDAWAさんに続いて登場してくれるのは、カクバリズム代表の角張渉さん。自身のレーベルや音楽シーンについて竹内琢也がインタビューを実施しました。(interview 2016.12.20)

Festival Life × FM802 BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY
vol.02 角張渉(カクバリズム)interview by 竹内琢也

-まず、最初にレーベルとは何をするところなのか教えてください。

基本的には、CD・レコード配信から、色々ある“音楽を聴く術(すべ)”に至るまでのすべてを、一からやっているところという感じです。もちろん、CDプレスは工場にお任せしますが、宣伝、営業、レコーディング、CDジャケットのデザイン、録音、販売までのすべてに関わっています。

-カクバリズムが最初のレコード(YOUR SONG IS GOOD)をリリースして、15年になりますが、レーベルを立ち上げた頃と比べると、今は、インターネット・SNSの普及によって、アーティストとリスナーが直接繋がれる時代になっています。その中でのインディレーベルの役割とは?

それは、すごく考えるところで、レーベルっていうのは“印”でしかなくなっていくんですよね。例えば、iTunesやSpotifyで配信すると、手元にジャケットもなくて、レーベルは、配信元というか、よく見ないとわからない”一単語”でしかない。だから、レーベルっていうのも関係なくなってきていて、全部フラット。でも「どこレーベルだからどう・・・」っていうのもない方が、盲目的じゃないし。“レーベル買い”って嬉しい反面、ちょっと盲目的なところもあるとも思ってるので。曲勝負でみんなメジャー、インディー関係なしに同じ土俵にあがる訳じゃないですか。アンチメジャーだ!とかいって、ただただなにもできないだけより、フラットなので。ただ、(インターネット・SNSの普及で)直接繋がれる時代になっても、あんまり変わってない部分も多分にある気もしています。

-それってどういうことですか?

意外にみんなWEBを“テレビの補完物”に使っているというか、当たり前ですけどね。「テレビで観たもの」「テレビで何か起こったこと」をWEBで共有するというか。テレビの影響力ってやっぱりまだスゴイ。連結物っていうか。もっとWEBだけで独立的なものになっているようで、意外にそうじゃないっていうか。目標というか、“広がり”をどこに設定するかなんですけどね。「テレビで観て、コレがスゴい!」「この部分が良かった!」ってのをWEBで共有し合っている。WEBで共有し合っているんだから、広がってはいるんでしょうけど、どうなんでしょうね。有名なものや今話題なものに集中するっていうのは昔から一緒ですけど、そのスピードが明らかに上がっているなって。それが恩恵ある部分と「う〜ん」って考える部分ですね。

-別の話になるんですが、リリースの形態についてもお聞きしたいです。海外では、配信の売上がCDを抜いたりしていて、逆に日本では、アナログの売上が上がってきている。そんな中で、カクバリズム的にこれから「CDを作らなくなる」という選択肢はあるんですか?

それは、当分ないんじゃないですかね。ウチは元々、レーベル設立からアナログばっかりずっと出してて、最初にアナログを出してから、評判が良かったバンドのCDを出すという流れがあったんです。昨年、ceroのレコーディングでニューヨークに行ったときに、現地のミュージシャンとかと話すと、「配信とかストリーミングになっちゃうと、音源での売り上げは年々下がっている」と。(日本の音楽ビジネスは)ガラパゴス化だと言われてますけど、「その形が羨ましい」って言ってたんですよ。日本は、ライブ人口もここ数年でめちゃめちゃ増えてて、<ライブにも来るし、CDも買ってくれる、ストリーミングも聴いて、配信もダウンロードして、アナログも買う>そんな状況は、すごい理想ではあると思うんですよね。「じゃあ、CDなくす必要はすぐにない」って感じじゃないですかね。以前、2008年ぐらいに、雑誌の取材だったと思うんですけど「今後どうなる?!音楽の形態」みたいなの話をしたときに「さすがに2020年にCDはないでしょ!」と当時は思ってたんです。でも、ありますよね!確実にあるなと思って(笑)。ジャニーズアーティストとかの入荷日にCDショップに行くと、確かに、めちゃめちゃ並んでるんですよ。「これはなんか活況でイイな!」とも思ってます(笑)。

-カクバリズムは、ストリーミングはこれからやっていくんですか?

海外だけではちょこっとやってますけど、日本では全然やってないんですよ。友達のバンドとかがみんなやっているんですけど。話題になっているもの、それこそテレビ的なもの、WEBでとっかかりを作ったときの時の“入り口”としてはいいんでしょうけどね。昔でいうと、とんねるずの「ガラガラヘビ」とか、ああいう商業的な音楽の方がストリーミングサービスは向いてくるのかなと思います。「買うまでもないけど、話題になっているから聴いてみよう」みたいな。YouTubeとかでも補完出来るのかもしれないですけど。

-すぐにアクセスできると。

フェスに行ったら、アノ曲やってるとか。もしかしたら、昔で言うとんねるずの「ガラガラヘビ」とか、ああいう商業的な音楽の方がストリーミングサービスは向いてくるのかなと思います。「買うまでも無いけど、話題になっているから聴いてみよう」みたいな。YouTubeとかでも補完出来るのかもしれないですけど。そこがどうしても軽く感じてすぐに消費されてしまうんじゃないか?って懸念が付いて回る。でもこの間Spotifyの人と打ち合わせしていたら、僕が思っている以上に音楽をたくさん聞かせようという努力をしていて、これは広がる・と。だから色々考えている途中です。ストリーミング、使ってみるとめちゃめちゃ便利で最高ですけどね(笑)。

-2017年は、カクバリズム15周年ですがどんなことを計画中していますか?

5周年、10周年とちょっとアニバーサリー的なことをやらせてもらってて、恥ずかしいんですけど、「でもなかなかねぇよな〜。20周年できるかもわかんねぇし」って思うと、2017年は大阪でもなんかやらせてもらおうと!年がら年中15周年っていっていこうかなと(笑)。あとは、各バンド、アルバムを出せそうなんで、宣伝プランとか。ちょっと企業的になるんですけど、僕ももう40歳になるんで、30代後半〜40代の人たちって徐々に音楽から遠ざかっていくイメージあるじゃないですか。でも、今の30代後半〜40代って、比較的音楽を聴いてくれている世代だと思うんです。だから、50代、60代も含めて上の世代に、伝わるような情報伝達のやり方を色々試したいなと思う2017年と、それをやってたら、下の世代が「なんかカッコいいやり方してんなー、背伸びしてみよう」って思ってくれないかなと思う2017年(笑)。

30代後半〜40代のバンドってベテランになっちゃうじゃないですか。でも、フレッシュに伝える。別物扱いにしないというか、いかに横に置くか。歴史があるものだから聴きづらいとかあると思うんですけど、そこをできるだけフレッシュに。それがストリーミングかもしれない。そんなことないか!(笑) まあもちろん、僕も、若い人たちに向けての新しいバンドへの出会いも求めてやってますけど、新しいものってやっぱ扱いやすいんですよ。みんなフレッシュなものがやっぱり興味深いし。だけど、昔からずっとやっている人たちに良いロケーションを作ってあげたいです。やっぱり、宣伝について、考えないとなと思っています。

インタビュー後記 by竹内琢也

いろんなお話を聞かせてくれた カクバリズム角張さん。5/20(土)福岡で開催される『CIRCLE ’17』に キセル・cero・スカート が出演決定しています。祝15周年!日本のフェスシーンには欠かせない「カクバリズム」の動きをチェックしていきましょう。

Text by 峯原拓也
interview by 竹内琢也
DATE:2016.12.20

>>カクバリズム:http://kakubarhythm.com/
>>FM802: https://funky802.com
>>BEAT EXPO : https://funky802.com/expo/

▶︎竹内琢也
20歳の時にワールドミュージックを紹介する番組でキャリアをスタート。現在はFM802 Monday&Tuesday 19:00~21:00「BEAT EXPO」、Thursday&Friday 5:00~7:00「DASH FIVE!」を担当。選曲、構成、ミキシングを手がけるアメリカンスタイルでもオンエアをしている。BECK、NORAH JONES、CLEAN BANDIT、ALABAMA SHAKES、OWL CITYなど海外アーティストへのインタビューも多数。
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