吊り橋効果(?)で仲良くなれるハイライフ
ミッチェ: 前回のハイライフは、“日本一標高の高いフェス”と謳っていたの覚えてます?
ユザーン: いや、覚えてないな。
ミッチェ: サンメドウズ清里っていうスキー場のゲレンデが会場で、標高1,800メートルの場所にステージを組んでたの。ユザーンさんが出演したステージでは八ヶ岳の赤岳を見ながら演奏できるのが自慢だったんですけど、赤岳は見えましたか?
ユザーン: うーん、記憶にない。演奏に一杯一杯で、景観を楽しむゆとりがなかったのかもしれないね。景観を堪能しながら最高の演奏ができるような、余裕のあるミュージシャンになりたいよ。でもさ、ステージの向きを逆にしてお客さんのほうに素敵な景色を見せることはできなかったの?
ミッチェ: アーティストに出演をお願いする際「山を見ながら演奏できて気持ちいいよ!」っていう誘い文句が言いたくて(笑)。
ユザーン: 山が見れるなら出よう!ってなる人もいるかもしれないもんね(笑)。今年は会場が変わるけど、どんな誘い方をしたの?
ミッチェ: 各々のアーティストによって違うけど、景色や食事など、自分が実際に住んでるからこそわかる山梨の魅力について丁寧に説明させてもらいました。こんなに多くのアーティストに出演を快諾していただけて、本当に嬉しいですね。
ミッチェ: ちなみにユザーンさんが出演して印象に残っているフェスってあります?
ユザーン: そりゃやっぱり、ハイライフだよね。
ミッチェ: え、数あるフェスのなかで? 嬉しい!
ユザーン: いや、これがこの対談における模範解答なのかと(笑)。でも、ハイライフは本当に印象に残ってるよ。初出演のとき、先に会場入りしてた勝井祐二さんの興奮っぷりがすごかったの。「ユザーン、ここ最高だよ! ビールもジビエもみんなおいしいし景色もいいし」って、天国を見つけた人みたいなテンションで状況を説明してくれた。
ミッチェ: 今日は勝井さんの話ばっかりしてますね(笑)。でも、そんなに気にいってもらえたから僕にも連絡をくれたのかも。「ミッチェの家、ここから近いんでしょ? 最高だからおいでよ!」って。
ユザーン: 勝井さんって、最近オオヤユウスケくんとよく一緒に演奏してるじゃない。あれも初回のハイライフがきっかけらしいよ。同日出演だったオオヤくんと「ここめちゃくちゃ楽しいですね!」って盛り上がって、お互いのステージに飛び入りをし合ったりして親交を深めたみたい。
ミッチェ: それは、主催者側としては一番うれしい話ですよ! 「吊り橋効果」みたいな感じかな。
ユザーン: 不安や恐怖を共有したわけじゃないからちょっと違うと思うよ(笑)。ハイライフが彼らにとってすごくいいイベントだったからこそ、あれだけ意気投合したんだと思う。お客さんたちも、一緒に来た友達や知り合いと仲を深めて帰れるといいよね。もちろん、ひとりで遊びに行くのも楽しいだろうし。
ミッチェ: ひとり参加も大歓迎です! ちなみに、ハイライフ以外で印象に残っているフェスは何かありますか?
ユザーン: うーん、たくさんあるけど今パッと思いついたのは森道市場かな? 2019年に出演したんだけど、1日で5ステージに出たんだよね。
ミッチェ: それは多いですね。誰と演奏したんですか。
ユザーン: もともとは蓮沼執太とのセットと坂本美雨さんのサポートという2ステージで出演する予定だったんだよね。そのあと青葉市子さんが出演を誘ってくれて、あふりらんぽのオニも呼んでくれて、あいちトリエンナーレの紹介トークショーみたいなのも頼まれて。だいぶ頑張ったんだけど、その5ステージを見て主催者も「ユザーンは当分いいか」ってなっちゃったのか、以降は森道市場から呼ばれてない。
ミッチェ: きっと1回で5年ぶん出ちゃったんですよ(笑)。ユザーンさんは、仲のいいミュージシャンに誘われたらどんどん出演してくれるタイプですか?
ユザーン: うん、声をかけてもらえるのは嬉しいもんね。あと、会場でいろんなミュージシャンに会えることはフェス出演の楽しみのひとつだし。
ミッチェ: 今回のラインナップで、ユザーンさんが会いたい方は誰ですか?
ユザーン: mabanua(Ovall)くんかな。ここ何年も電話とメールでしかやり取りしてないから、久しぶりに直接会えるのが嬉しい。あとは小林うてな(鬼の右腕)。前に一緒に演奏したときの出演料の支払いが終わってないからメールをしたんだけど、なんか返事が来てないんだよね。だから会場で直接お渡しできたらなと(笑)。
ハナレグミとの「タカシタブラカシ」とは?
ミッチェ: コラボという意味では、今回のハナレグミの永積崇さんとの「タカシタブラカシ」、本当に楽しみな組み合わせの出演が叶って、すごく嬉しいです。「ハイライフに、どんな人に来てもらいたいでしょうか」っていうアンケートを地元の人から取ったことがあったんですけど、永積さんの名前を挙げる方がめちゃくちゃ多くて。みんなの念願ですね。永積さんが北杜市でライブをするのは8年ぶりだそうです。
ユザーン: その8年前のライブもハナレグミ with U-zhaanとしての出演だったよ。ところで、今回はなんで「タカシタブラカシ」って名義で出ることになったんだろうね。
ミッチェ: そこはむしろ僕が聞きたいですけど。今回のアーティスト発表の時、SNSでも「あれ、タカシタブラカシがユニット名になってる」ってざわついてましたから。
ユザーン: もともと、去年の年末に永積崇くんと一緒に開催したイベントのタイトルが「タカシタブラカシ」だったんだよね。そしてそもそも、何年か前に一緒にツアーした時は「タカシタブラタカシ」っていうツアータイトルだったの。去年なぜか「タ」がひとつ抜けて、今年はいつの間にかバンド名になってた(笑)。でもたぶん、普段のハナレグミとはまったく違うことをやるっていう意思表示みたいな感じだと思うよ。楽しいステージにするので、期待しておいてください。
ミッチェ: 本当に楽しみにしてます! バンド名の謎も、ライブ当日に解き明かされるといいですね。
Text:鈴木絵美里
Photo:吉嗣 裕馬
令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成