音楽フェスと地域社会の関係を掘り下げた書籍『僕らがローカルフェスをする理由——変化する祝祭と地域社会』が、2026年10月19日に発売された。著者は、京都橘大学経済学部教授の永井純一。全国各地で開催されるローカルフェスに焦点を当て、主催者への調査を通して、フェスが生まれる背景や運営の実態、地域振興やまちづくりに果たす役割を考察する。
2000年代以降、日本の音楽フェスシーンは大きく成長してきた。「FUJI ROCK FESTIVAL」や「SUMMER SONIC」といった大規模フェスが注目を集める一方、各地では地域に根ざした個性的なローカルフェスも存在感を高めている。本書では、こうしたフェスを単なる音楽イベントとして捉えるのではなく、地域社会との関係から読み解いていく。
第Ⅰ部「フェスが地域と出会うとき」では、2000年代の国内フェスシーンの生成と展開を振り返りながら、大規模フェスからローカルフェスへと視点を広げる。主催者アンケートを通じて、フェスと地域の関係についても分析する。
続く第Ⅱ部「ローカルフェスという社会実験」では、具体的なフェスを事例として取り上げる。岡山県井原市の「hoshioto」、兵庫県三田市の「ONE MUSIC CAMP」、兵庫県伊丹市の「ITAMI GREENJAM」に加え、岐阜県各務原市の「OUR FAVORITE THINGS」、茨城県結城市の「結いのおと」などを通して、手作りのフェスが地域の中でどのように育まれ、表現の場や公共性を生み出しているのかを探る。
音楽フェスが地域にもたらすものは、経済効果や観光客の増加だけではない。主催者の思いや地域との関係、参加者が集うことで生まれるつながりなど、フェスを継続するための背景にも目を向ける一冊だ。各地のフェスが地域とどのように関わり、これからどのような可能性を持つのか。フェスの主催者や運営関係者はもちろん、ローカルフェスの成り立ちに関心がある人にとっても、国内フェスシーンを考える手がかりとなりそうだ。
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